広島大学などの調査では、認知症の高齢者がコロナ禍で外出を控えたり、人との交流を控えたりすることで、認知機能や着替えなどの日常動作が衰えた人が4割近くいたという。「我慢」することでコロナの重症化リスクを避けることはできたが、その代わりに心や体が壊れてしまったのである。
今の日本は、新型コロナで死ぬよりも、孤独や不安、そして貧困で死ぬ人のほうが遥かに多いのだ。
このまま感染者が増えていけば「我慢の年末」「我慢の正月」という感じで、自粛ムードが高まっていくのは間違いない。感染を抑えるためには致し方ない部分もあるが、活動を制限されることによるメンタルヘルスの悪化や「経済死」の増加がこれだけ出てきた以上、「我慢の副作用」についてももっと議論すべきではないのか。
菅総理には、ぜひそのあたりのバランスをとったコロナ対策をお願いしたい。
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。
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