なぜ石川県の加賀温泉郷に人が集まるのか 「ファンづくり」の裏側モーニング娘。を起用(6/6 ページ)

» 2020年12月05日 07時51分 公開
[後藤香織ITmedia]
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「なんだかここ、楽しそう」と感じられる場所

 最後に大久保氏に今後の展開を聞くと、予算面や現実性など、さまざまな検討事項はあれど、今後も進めていきたいプランがいくつかあるようだ。

 「モーニング娘。は、約20年前の安倍なつみさんたちがいたころから、綿々とつながる歴史があるグループ。加賀温泉郷でもそんな歴史を感じられるような企画ができたらいいなと思います。これは本当に例えばの話ですけど『加賀楓さんと一緒に、加賀に楓の木を植える植樹祭』があったりしたら面白いし、その木が遠い未来まで、ずっと聖地になる。

 ファンの人が年を重ねて、いつか自分の子どもや孫を連れて加賀温泉郷に行く日があったら『この木はね、お母さんが昔好きだった人の思い出の木なのよ』なんて話をして、何十年越しで楽しんでもらえたら……そんな企画ができたら素敵ですよね」

 大久保氏は「僕は地元が石川県ということもあり、地域活性化にも貢献していきたい。加賀さんを起用した企画については、そこまでお金のことを考えすぎず、温泉郷の方やファンの方とみんなで一緒に楽しもう、という考えでやっています」と語る。

 その結果「楽しむ気持ち」が伝わり、温泉郷に訪れる人が増え、その気持ちは温泉郷の旅館や飲食店のスタッフにも伝染し、循環していく。

 「なんだかここ、楽しそうだ」と感じられる場所に人は集まる。その幸福の循環を作れる観光地が、根強く「ここに行きたい、ここを支えたい」というファンを作って生き残っていくだろう。

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