なんてことを耳にすると、「ナメたことを言うじゃないか、SNSの力を思い知らせてやる!」とDHCになんとかダメージを与えようと、寝る間も惜しんで不買運動にのめり込んでしまう方もいらっしゃるかもしれないが、筆者は何も消費者が「無力だ」などと主張したいわけではない。
一般消費者が、大企業の姿勢に対して「ノー」を突きつける1つの方法として「不買運動」というものが有効であることは間違いないし、それをナメると手痛いしっぺ返しをくらうのは今後も変わらない。ただ、不買運動の呼びかけに限らず、SNS上で行われる激しい批判や誹謗中傷に対し、企業側も消費者側もすっかり慣れて「免疫」ができてしまったことで、「不買」というアクションにかつてほどの目新しさも、破壊力もなくなってきている、と言いたいだけである。
誹謗中傷で死に追いやられたプロレスラーの木村花さんのように、SNSでは毎日のように誰かが壮絶な誹謗中傷を受けている。「死ね」「消えろ」「その顔を見ているだけで不快」などと、現実社会では事件に発展するような攻撃的な言葉があふれかえっている。
それは企業に対してもそうだ。ご存じのように企業危機管理広報の世界では、広告やプロモーションがちょっとでも批判をされると、すぐに撤回、そして真摯(しんし)な謝罪という流れが「正解」となっている。「企業側も根性がない」と憤る人たちも多いが、裏を返せば、それだけSNSでの誹謗中傷が常軌を逸していることもあるのだ。
例えば、匿名のSNS運用担当者を「特定」して、過去ツイートや交友関係をほじくり返して、重箱の隅をつつくような批判をネチネチして、メンタルを追い込むようなこともある。こういう厄介な「正義の人」と対峙して粘り強く理解を求めるよりも、さっさと白旗をあげたほうがトータルでコスパがいい、と判断をされてしまっているのだ。
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