「ふざけんなよと」怒り爆発 大手外食が“露骨に冷遇”されるワケスピン経済の歩き方(2/6 ページ)

» 2021年01月19日 10時20分 公開
[窪田順生ITmedia]

政治家への「心づけ」が不足

 では、経済対策的な観点からも支援が必要なのは明白であるにもかかわらず、なぜ外食大手だけがこんなにも露骨に冷遇されているのだろうか。

 いろいろなご意見があるだろうが、個人的には「与党への政治献金が少ない」ことが大きな影響を及ぼしていると考えている。身も蓋(ふた)もない話で恐縮だが、政治家への「心づけ」が足りなかったのだ。

 なんてことを口走ってしまうと、「貴様! 国民が一致団結をしなくてはいけないこの非常事態に、くだらないデマを流すな!」と怒りでどうにかなってしまう自民党支持者の方もたくさんいらっしゃるだろう。ただ、ほんの2年前に、規制強化を恐れる鶏卵生産大手「アキタフーズ」の秋田善祺元代表が、吉川貴盛元農相に計500万円の賄賂を払ったことからも分かるように、一部の企業や業界団体が自分たちに有利な政策をしてもらえるように政府与党に「カネ」を配っている、というのはどんな理屈をこねても否定できない現実なのだ。

大手外食が冷遇される背景に、何があるのか

 では、外食大手の皆さんはコロナ禍になる前から、その現実に向き合ってしっかりとロビイングをしていたのかというと、2020年11月27日に公表された政治資金収支報告書(2019年分)を見る限りでは、そうとは言い難い。

 サイゼリヤも加盟している日本フードチェーン協会の政治団体「外食産業政治研究会」のこの年の寄付額はゼロ。その代わりに、与党を中心とした国会議員の政治団体に会費を支払っている。要するに、政治資金パーティーだ。その合計額はおよそ1100万円となっている。

 というと、「何が政治資金が少ないだ、1000万円も使っているじゃないか!」と驚く方が多いかもしれない。確かに、一般的な消費者の感覚ではそうだが、業界団体のロビイングの世界ではそれほど高額ではない。上には上がいるのだ。

 分かりやすいのが、中小企業・小規模事業者の業界団体として、「コロナによる影響が大きい飲食業、小売業、宿泊業などに対する集中支援」を訴え続けている日本商工会議所の政治団体「日本商工連盟」だ。

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