サイゼ社長の「ふざけんな」は当然 時短要請と協力金が批判されまくるワケ長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/7 ページ)

» 2021年01月20日 05時00分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

グローバルダイニングの社長が異例の声明

 和食「権八」やイタリアン「ラ・ボエム」などを東京都心部を中心に37店展開する、東証2部上場のグローバルダイニング。同社は、カテゴリー上は中小企業に入るが、1月7日に長谷川耕造社長が「今の行政からの協力金やサポートでは時短要請に応えられない」などと、自らの考えを公式Webサイトで発表。緊急事態が宣言されても、商業施設にある店舗を除いて、ほぼ通常通り営業を行っている。

グローバルダイニングの権八 西麻布

 「権八」西麻布店は、小泉純一郎元首相と米国のブッシュ元大統領が、在職中に会談した高級居酒屋として知られる。

 長谷川社長の主張は、次の通りだ。

 (1)現在「緊急事態」にあるのか。日本における新型コロナの死者数は米国の約40分の1と極端に少ない。20年10月までの総死者数は、インフルエンザの感染が抑えられたため、19年と比べて約1万4000人も減少した。

 (2)ロックダウンを徹底している国々で感染が下火にならず、「時短」や「休業」が効かないのは世界規模で証明されている。

 (3)冬にウイルス感染症が増えるのは自然の摂理。医療崩壊とおっしゃっている国や自治体の関係者、感染症専門家の方々は何の準備もしていなかったのか。

 (4)飲食で午後8時までの営業では事業の維持・雇用の維持は無理。

 (1)〜(3)について、日本で感染拡大していると言っても、1日の感染者数とされるPCR検査陽性者数は、最大で7844人(1月8日)。それに対して、米国では連日約20万人が感染している。人口比で見て、明らかに日本は新型コロナがあまり流行っていない。長谷川氏でなくても、日本の医療体制がどうしてここまで脆弱(ぜいじゃく)なのか、疑問を持つ人も多いのではないだろうか。

 (4)についても補足しよう。例えば、東京・西麻布にある「権八」は250席で、同じく都内にある新宿御苑と銀座の「ラ・ボエム」はそれぞれ120席と96席を有している。同社が運営するのは大型店が主流(全てではない)。1日6万円が支援されたとしても、時短営業をして維持できないのは明らかだ。

グローバルダイニングのカフェ・ラ・ボエム 白金

 顧客の入りは、「店にもよる。現時点では正確に分からないが、SNSの投稿を見ても悪くないとみている」(同社・広報)。悪くないどころか、長谷川氏の考え方に共感した人が集まっているのか、銀座や白金の「ラ・ボエム」などは、ウェイティングが出るほどの大盛況である。

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