なぜこんな「ランキング商法」が成立したのかというと、日本人の国民性だ。
よく言われることだが、日本人はランキングに弱い。日経MJヒット商品番付からモンドセレクション金賞まで、誰かが格付けしたものを信頼してわっと飛びつく。売り場に「今、売れてますランキング」というPOPを出すと、その通りにモノが売れる、という話もある。このランキング信仰の強さは、ファミレスメニューやコンビニスイーツなど、あらゆるものをランキング形式で紹介する情報バラエティ番組だらけになっていることからも明らかだ。
こういう国民性なので、企業側もランキングを持ち出されると無視できない。普通のコンサルティングやセミナーの営業ならば門前払いだが、不穏なランキングを公表している相手には向き合わざるを得ないのだ。
ちなみに、なぜこんなにもランキングに弱いのかということで、よく言われるのが「番付カルチャー」だ。江戸時代、相撲の番付表をアレンジして、さまざまものを格付けして並べる「変わり番付」(見立番付)が流行した。歌舞伎役者、料理茶屋、温泉地、観光スポット、美男美女、地震、さらには娼婦まで、ありとあらゆるものをランキングにすることが、庶民の娯楽だったのである。この「変わり番付」が明治・大正・昭和と引き継がれ、現在の「なんでもランキング」という文化の礎になっているのだ。
では、今回のようなランキングにまつわるゴタゴタは日本特有の現象なのかというとそんなことはない。実は最近もある国際機関に「ランキング商法」疑惑が持ち上がっている。世界銀行である。
ここが毎年発表している「ビジネス環境度ランキング」(Doing Business)というものがある。これは各国のビジネス環境を「起業のしやすさ」「建設許可」「電力」「不動産登記」「信用供与」「投資家保護」などの10分野で数値化して、それらの単純平均を並べたランキングで、世界銀行を代表するレポートの一つだった。ちなみに、日本は2019年版「Doing Business 2020」で190カ国中29位、OECD36カ国中18位だ。
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