魅力度ランキングに群馬県知事が激怒! 「ランキング商法」の背景に、何があるのかスピン経済の歩き方(4/6 ページ)

» 2021年10月19日 09時32分 公開
[窪田順生ITmedia]

「ランキング商法」の営業文句

 その18年版で不正があることが判明したのだ。世界銀行が9月16日に公表した報告書によれば、17年に中国政府の高官が当時の総裁だったジム・ヨン・キム氏に「中国の順位は正確ではない」などと不満を告げたところ、キム総裁がランキングの担当者に圧力をかけて、本来は85位だったところ78位に引き上げられたという。

 世界銀行レポートへの信頼を大きく失墜させたと国際社会は大きな衝撃を受けたが、スケールが大きくなっているだけで、「カネを払えば順位が上がる」という本質的な部分では「ランキング商法」とそれほど変わらない。

 実はこの不正の後、18年4月に世界銀行グループは計130億ドル(約1兆4000億円)増資を発表。これは8年ぶりのことで、中国の出資比率が高まった。

 このランキングは新興国・途上国に投資をする企業の判断に大きな影響を与えてきた。だから、中国政府はとにかくこのランキングを一つでも上げて、海外からお金を集めたい。こちらは国だが、「ランキング商法」に引っかかる企業と同じ悩みを抱えていたのだ。

Doing Business「日本の順位の変化」

 実際、ロシアNIS貿易会・ロシアNIS経済研究所の服部倫卓所長も、『Doing Business』の背後に暗躍する「ランキング商法」についてこう指摘している。

 『「Doing Business」があまりにも注目されるようになったので、真摯に投資環境を改善するというよりも、「Doing Business」で順位を上げるためだけの「傾向と対策」を練る国が増えました。聞くところによると、それを専門とするアドバイザーなども跋扈しているようで、そのノウハウを取り入れれば順位アップは比較的容易なのだそうです」(朝日新聞GLOBE+ 2020年12月22日)

 いかがだろう。「ランキング商法」の営業文句とほとんど変わらないのではないか。「わが社の独自のノウハウで、顧客満足度ランキングの劇的にアップ」なんてうたう、怪しげな営業マンとそれほど変わらない人々が、国際機関の周辺にもウジャウジャいるのだ。

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