先述の通り、日本でも「ネット選挙」は解禁されている。今回の衆院選も候補者の多くがSNSアカウントを用意していた。選挙情報サイト「選挙ドットコム」の調査によると、選挙活動にTwitterを使っている候補者は全体の81%、Facebook利用者も同じ81%であり、SNSを利用している候補者は全体の8割にも上る。
ただ、米国や韓国などでは、日本のような候補者を連呼する選挙カーの光景を見かけることはない(韓国では、選挙カーを見かけることはあるが、候補者の名前を連呼して回ることはなく、候補者の演説などの舞台に使われている)。なぜ、日本では、未だにネット選挙にシフトできないのだろうか?
まず、日本の選挙では、韓国や米国のようにSNSを戦略的に活用していない。先述の12年の韓国大統領選における与党セヌリ党と、日本の与党自民党を比較すると明らかである。
選挙ドットコムの調査によると、自民党のSNSのフォロワー数は5つのうち4つでトップであり、その中でもLINEのフォロワー数が圧倒に多い。自民党が強いSNSはLINEといえる。
日本の選挙では、一般的に若年層の投票率が低く、高齢層の投票率が高い状況にある。昨年の都知事選では60〜70代の投票率が20代の倍程度あり、過去の衆院選でも同様である。日本の選挙では高齢層からいかに支持を得られるかが勝敗を左右する。
続いて、年代別の各SNSの利用率を見ると、LINEは10〜70代すべての年代でトップであり、60代で7割以上、70代でも6割以上に利用されている。
以上の公表されたデータだけを見ても、自民党はLINEを積極的に活用すべきことが分かる。しかし、衆院選での筆者の選挙区である東京第8区をサンプルに確認すると、自民党がSNSを戦略的に活用していないことが分かる。
まず、ポスター掲示場にて自民党の候補者だけポスターにQRコードがない。立憲民主党の候補者にはLINEに誘導するQRコードがある。
続いて、自民党候補者のWebサイトを確認する。Facebook、Twitter、YouTubeのリンクはあるが、LINEへのリンクがない。LINEの公式アカウントを用意していないのだ。
韓国では、12年の時点で、与党の朴陣営が高齢層にも利用されているカカオトークに積極的にメッセージを発信していた。日本の選挙では、与党が高齢層にも利用されているLINEを活用しようという意識すらないのである。
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