東京駅からの新幹線「西行き」「北行き」は、なぜ戦略が異なるのか最適化を目指す(3/4 ページ)

» 2022年06月29日 08時04分 公開
[小林拓矢ITmedia]

多彩な側面を見せる「北へ向かう新幹線」

 東京駅からは、北へも新幹線が発車している。これらの「北へ向かう新幹線」は、路線に応じたきめ細やかなサービスが特徴だ。東京からの主な行き先だけでも、新函館北斗、秋田、新庄、新潟、金沢と、さまざまな地に向かう。その上で直通を大切にしている。

 区間運転の列車では、盛岡、仙台、那須塩原、高崎、長野など、きめ細やかに設定されている。「西へ向かう新幹線」が基本、博多方面にしか向かわない(新大阪や広島を途中駅とする)と考えると、ありようがまったく異なっているのだ。

 それゆえに、行き先に合わせたサービスを提供していくことになる。東海道新幹線のように、特定形式で車両を固めるということはないのだ。

 例えば東北、北海道、秋田、山形新幹線だけでも、E5系、E6系、E2系、E3系と4種類の車両がある。上越、北陸新幹線では、E2(上越のみ)系とE7系・W7系がある。東北新幹線の通勤客向け列車では、「はやぶさ・こまち」の間合い運用でE5系とE6系の併結列車もある。

東北新幹線「はやぶさ」

 東海道新幹線の画一化されたサービスと比べると、興味深いサービスもある。例えば特別車両「グランクラス」だ。「はやぶさ」「かがやき」では、軽食と飲料・茶菓子の提供といったサービスがある。「はくたか」でも同様のサービスはあるものの、10月1日で終了となる。

 その他の列車でも、座席のみの「グランクラス」サービスが存在する。

 グリーン車より優等の座席車を提供しているのは、「北へ向かう新幹線」のみである。一方、チケットレスサービスも「西へ向かう新幹線」とは異なっている。「北へ向かう新幹線」は、JR東日本の予約サービス「えきねっと」と一体となった「新幹線eチケットサービス」で、交通系ICカードやモバイルSuicaと親和性が高い。「西へ向かう新幹線」の交通系ICカードとは、別のICカードを提供する「エクスプレス予約」とは異なるのだ(ただし、交通系ICを使用する「スマートEX」というサービスもある)。

 JR東日本がSuicaの普及を企業戦略の中心に据え、その延長線上で「新幹線eチケットサービス」を導入していると考えると妥当だろう。では「西へ向かう新幹線」と「北へ向かう新幹線」、それぞれの違いの背景に何があるのか?

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