大学事務局よ、ブラックバイトに対処する責任はあなた方にある:約6割の学生がトラブルを経験(2/4 ページ)
ブラックバイト。最近耳にするようになった言葉だ。企業の中には、学生の法的無知や優しさに付け込んで、とんでもない働かせ方をしている。彼らに対処すべきは、学生の味方である大学の事務局である。
ブラックバイトの実態
そうした学生の無知に付け込んで、現場の苦労の一端をアルバイトに押し付けようとしているのがブラックバイトの実態なのだ。
実はむちゃな働き方をさせている店長・上司の側にも、法的に間違ったことをしているとか、倫理的に問題のある働き方をさせているという認識がないケースがあるのだから厄介だ。要は社会人とはいえ、法的・社会常識的に欠落した人間はゴマンといるということだ。
もちろん、社会常識的にはマズイという感覚を持ちながらも、自らの立場を守るために無知もしくは立場の弱い学生に無理を強要したり泣き落としをしたりしているケースが大半だろう。そして彼ら現場責任者が過剰なノルマや利潤への大きなプレッシャーを感じているという背景があることは間違いない(だからといって同情の余地はないが)。
さらに昔の学生と違って、今の学生は「周囲への優しさ」と「関係性への過敏性」に溢れている。むちゃなシフトだと思いながらも、自分が抜けると穴があく、それは誰か他のスタッフ=仲間にしわ寄せが行くため嫌がられる、最終的にはお世話になっている店長が上から叱られる、ならば自分が当面我慢すればいい……と「大人の対応」を自分に納得させるようだ。
一方、大半のブラックバイトを行っている企業の経営者は実態を知らないまま、こうした理不尽な行為を部下に続けさせているのだろうか……いや、それも考えにくい。ブラックバイトを生むような産業・業態はある程度限定されるのだ。その典型例は飲食店、コンビニ、塾だ。これらの業種は労働問題の常習者なのだ。
特に飲食店チェーンの多くで、日常の現場オペレーションにおいて学生アルバイトを中心に回っている実態があり、社員は店長だけといった具合にごく一部しかいない。数店舗を指導監督する人間は社員だが、店舗はほぼ全員がアルバイトとパートだというようなケースも少なくない。
こうした業態では「ブラックバイト」という新用語の前に、「ブラック企業」というレッテルが貼られているケースが数年前に相次いでいる。つまりもともと従業員を酷使し使い捨てにする体質が業界に存在すると考えるのが自然だ。単に現場から正社員がいなくなって、残ったのが契約社員とアルバイトだけ。その結果として「ブラックバイト」に注目が集まっている、というのが典型的パターンなのである。
塾講師にはプロも多くいるが、最近まで現役受験生だった学生は歓迎され、見掛けの時給が良かったりするので人気なのだ。しかし実態は、先に挙げた「コマ給問題」に代表されるように見掛け倒しで、「真っ黒」なのだ。そしてこれは業界ではかなり以前から問題視されていた。
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