NHK「夏休み子ども科学電話相談」の仕掛人に、舞台裏を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(質問公演)(2/7 ページ)
ここ数年、NHKラジオ第1の「夏休み子ども科学相談」が話題になっている。子どもと先生のやりとりはそれほど変わっていないのに、なぜ人気が出ているのか。番組スタッフに、その要因を聞いたところ……。
質問の選び方
土肥: 今年の「夏休み子ども科学電話相談」は7月23日にスタートしました。SNSを見ていると、毎日のように子どもの相談が話題になっていますよね。「なんでチンパンジーは人間になれなかったの?」「豆もやしの豆の部分はなぜ黄色いの?」など。こうした質問を聞いた大人たちは「柔軟な発想をしているなあ」「言われてみると、確かに不思議!」などと感じると思うのですが、1日に質問はどのくらいあるのでしょうか?
大野: 番組のWebサイトから送ることができるメールと、放送中にスタッフが対応する電話で受け付けていまして、電話の場合、放送を重ねていくとアクセスが増える傾向があります。通常はゆるやかに数が増えていき、放送時間中にかかってくる電話が1000件を超える日もあるのですが、今年は違う。3日目に1500件を超えて、過去最高の2000件を超える日もありました。ただ、この数字は電話受付のスタッフが対応できなかった数字がカウントされているので、もしかすると質問ができなかった子どもたちは何度もかけているかもしれませんね。
土肥: 延べ2000件超というわけですね。1日に質問ができる子どもは25〜30人なので、倍率は約80倍!(2000÷25) 質問は狭き門をくぐり抜けているわけですが、どういった基準で選んでいるのでしょうか?
柴: 大きく分けて2つあります。1つは、大人が考えもつかないような、子どもらしいもの。もう1つは、内容が面白いもの。質問は電話スタッフがまず受け付けて、その第一関門を突破すれば、番組スタッフ3人が目を通します。合計4人が判断していまして、「これはいける!」と感じた質問に対しては、放送前に子どもに連絡をとります。ただ、実際に話をしてみると、お父さんやお母さんの影を感じることがあるんですよね。
土肥: どういうことでしょうか?
柴: 例えば「カブトムシにはどうしてオスとメスに分かれているの?」といった質問があったとして、その疑問を感じているのは親のことがあるんです。親が不思議に感じていて、子どもがピンチヒッターで電話をする。でもそうした場合、子どもは質問に対する気持ちがそれほど強くないので、放送中に黙ってしまうことがあるんですよね。ということもあるので、子どもは自発的に話をすることができるのかどうか、といった点も確認しています。
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