NHK「夏休み子ども科学電話相談」の仕掛人に、舞台裏を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(質問公演)(3/7 ページ)
ここ数年、NHKラジオ第1の「夏休み子ども科学相談」が話題になっている。子どもと先生のやりとりはそれほど変わっていないのに、なぜ人気が出ているのか。番組スタッフに、その要因を聞いたところ……。
番組の台本はない
土肥: 放送中に黙っている子どもの近くで、親が「なんとかだよ」といった小さな声が聞こえてくることがありますよね。質問をしている子どもが5歳くらいであれば、ほのぼのするのですが、中学生の横でお母さんが「もごもごもご」と言っているのを聞いていると、なんだかなあと感じることも。ただ、そうしたハプニングもこの番組ならではの面白さなのかなあと。
大野: スタッフもそうしたやりとりを楽しんでいるのですが、あまりにもお子さんが黙ってしまうのもちょっと……(笑)。ですから放送前には、お子さんがきちんと応答ができるかどうか、その質問は本当にお子さんが聞きたいことなのかどうかも確認しています。
柴: さらに、番組スタッフがお子さんに電話をする前、先生に質問を見ていただいています。先生であっても、答えられることと、答えられないことがある。どんな質問でも大丈夫という先生もいれば、かなり厳しい目で選ばれる先生もいる。先生による選別があって、最終的に番組のスタッフが連絡をするといった流れになります。
土肥: 電話の場合、まず電話受付の壁を突破して、次に番組スタッフ3人が選別する。4人の目で「これはいける」と判断しても、先生の厳しいチェックが入る。そこでOKが出れば、直接電話をして、子どもが自発的に話をすることができるのかどうかを確認する。そうやって番組で質問ができるという流れになるわけですね。ところで、番組に台本はあるのでしょうか?
大野: 何時に音楽を流して、何時にニュースを入れて、といった決まり事はあるのですが、子どもと先生のやりとりに台本はありません。
土肥: そのやりとりを聞いていると、ハラハラしてしまうんですよね。特に、子どもの沈黙。こちらは番組関係者でもないのに、「このまま黙っていたらどうするんだろう?」「大丈夫か? ヘンなことを言うのでは?」と感じてしまう。
大野: ドイさんもハラハラされているようですが、番組スタッフも同じような気持ちです(笑)。間違えて電話を切ってしまうのでは、などとドキドキしている。ただ、そこがこの番組のキモだと思うんですよね。子どもはがんばって答えてくれるだろうか、黙ってしまうことはないだろうか、と一緒になってハラハラする。
聞いている側は沈黙していると感じるかもしれませんが、4〜5歳のお子さんの場合、電話口でうなずいているケースも多いんですよね。ラジオの場合、無音はよくないので、沈黙がしばらく続いたときには、先生が「分かるかな?」と聞いたり、アナウンサーが「聞こえているかな?」と質問したり。そうすると、だいたい近くにいる親など保護者の方の声が聞こえてくるんです(苦笑)。
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