NHK「夏休み子ども科学電話相談」の仕掛人に、舞台裏を聞いてきた:水曜インタビュー劇場(質問公演)(4/7 ページ)
ここ数年、NHKラジオ第1の「夏休み子ども科学相談」が話題になっている。子どもと先生のやりとりはそれほど変わっていないのに、なぜ人気が出ているのか。番組スタッフに、その要因を聞いたところ……。
冒頭で「結論」を話してもらう
土肥: 放送を聞いていて、「先生方の説明は分かりやすいなあ」と感じるんですよね。番組側からこのように話をしてくださいね、といった指示を出しているのでしょうか?
柴: なるべく「結論」から言っていただくようにお願いしています。大人に説明する場合、結論がDの場合、A→B→Cの話をして、最後にDといった流れになる。お子さんにそのように話をしても、ちょっと難しく感じることがあるので、まずDの話をして、A→B→Cを説明して、だからDなんだよといった流れにしています。正しい情報を提供して、かつ子どもに分かるように説明しなければいけませんので、原則と結論は冒頭で話をしてもらうようにお願いしています。
大野: 先生の説明に対して、お子さんが理解していないなあと感じたときには、アナウンサーがフォローすることも。先生も説明をしていて熱が入ってしまい、難しい言葉を使うことがあるんですよね。例えば、「遺伝子がどうのこうの〜」といった話になったときには、アナウンサーが「遺伝子ってなんですか?」と聞くようにしています。
土肥: 科学に関する相談なので、正しいことを説明しなければいけません。ただ、正解ばかりにとらわれていると番組として面白くなくなってしまう。そのへんのバランスはどのようにとっているのでしょうか?
大野: 主観と客観のバランスをとるのは難しいですね。科学相談である以上、先生の主観だけで答えるのはよくない。とはいえ、客観的な事実ばかり答えていては、お子さんの質問に対応するのは難しい。あるお子さんは「昆虫をなめてみたけれど、味がしなかった」と言ったところ、先生は「なめているだけでは分からないから、むしゃむしゃ食べてみたらどうかな」とコメントしました。ただ、子どもは「食べられない」と答えたので、先生は「そうか」と残念そうでした。こうした会話は完璧な科学問答ではありません。ただ、こうした先生と子どものやりとりが面白くて、ひきつけられる人も多いのではないでしょうか。
話はちょっと変わりますが、「自分も子どものころは、地球が爆発したらどうなるんだろう?」と不安を感じていたはずなのに、いつの間にかそのようなことを考えることがなくなった。大人になった今は「地球はなくならない」「自分が生きているうちに地球があればいい」といった考えになっている。世の中は殺伐としているのに、子どもの質問にほっこりする。そうした落差に興味をひかれる人も多いのではないでしょうか。
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