Itaniumは「ダウンタイムの許されない基幹システムを支える」とIntelInterview

Intelのジェイソン・ワクスマン氏いわく、エンタープライズアプリケーションを支えるプラットフォームには「パフォーマンス、高信頼性、拡張性」の3つが不可欠という。

» 2004年06月08日 21時57分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 先日のプレス向け説明会の席で、SCMやCRMといったエンタープライズアプリケーションの稼動するプラットフォームの座をRISCから奪取するという意気込みを見せたIntelのジェイソン・ワクスマン氏(エンタープライズ・マルチプロセッサ・プラットフォーム・マーケティング・ディレクター)。同氏に、パートナー戦略を中心に、RISCからの移行という目的に向けた具体的な取り組みを聞いた。

ワクスマン氏 「次のアナウンスにはぜひ期待を」と述べたワクスマン氏

―― エンタープライズアプリケーションには、デスクトップ向けアプリケーションとはまた異なる要件が求められます。Intelはどういったニーズを汲み取り、どう応えていく計画ですか?

ワクスマン おっしゃるとおり、ERPをはじめとするミッションクリティカルな企業アプリケーションを稼動させるサーバには、いくつか重要な条件が求められます。パフォーマンス、高い可用性と信頼性、それに拡張性です。IntelのItaniumはこれら3つの分野それぞれにおいて、十分な能力を提供していきます。

 まずパフォーマンスについてですが、ERPやSCMといったアプリケーションとデータベースを組み合わせて動かす場合、トランザクション処理性能がとても重要になってきます。Itaniumは大容量のキャッシュや高い帯域幅、大容量のメモリなどを通じて、高いトランザクション処理性能を実現します。

 2つめの可用性や信頼性は、エンタープライズアプリケーションにとって非常に重要なポイントです。プラットフォームの信頼性が低く、ダウンタイムが生じてしまえば、企業のビジネスそのものに根本的な影響を与えてしまいます。ラップトップPCならば再起動すれば済みますが、IT管理者はそうは行きません。極力リブートをなくし、予定外のダウンタイムが生じないように努めなくてはならないのです。

 Itaniumが備えるエラー訂正機能やデータ完全性保証機能は、こうした基幹業務に対応できるものです。さらに、プロセッサそのものではエラーからの回復ができない場合でも、ファームウェアを組み合わせることでそれを実現できます。

―― 信頼性となると、RISCプロセッサ側のほうが分がいいように見えますが?

ワクスマン いいえ。われわれはItaniumと、PowerやSPARCといったRISCプロセッサとの間でさまざまな比較分析を行いましたが、エラー訂正やデータ回復、パーティショニング、キャッシュリカバリなどあらゆる分野でItaniumが上回りました。そのうえRISCプロセッサで高い信頼性を実現しようとすると、何千万ドルものコストが必要になります。われわれは数千ドルの価格で、ミッションクリティカルな環境向けの機能を提供していきます。

 Itaniumには他にも、プロセスが中断するような場合には不正なデータにフラグを付け、普通ならばシステム再起動が必要な場合でもオペレーションを継続させる機能を提供しています。NECや富士通、日立といったOEM各社による、高い信頼性を備えたシステムの提供もそれに一役買っています。

―― 最後の拡張性については?

ワクスマン 業務の拡大に伴い、SAPなどのエンタープライズアプリケーションで利用するデータやトランザクションが増加するケースはしばしば見られます。こうしたシステムでは、RISCベースのシステムやメインフレームが多く利用されていますが、OEMパートナーとともに取り組むことで、その顧客をItaniumベースへと移行させていくつもりです。

引き続き国内OEMパートナーとの連携を

―― 会見の席ではたびたび、エンタープライズアプリケーションを提供するソフトウェア業界との協力の重要性を訴えていました。

ワクスマン 多岐にわたる協力関係を築いています。まず、マイクロソフトやオラクル、BEAシステムズ、それにWebSphereやDB2を擁するIBMソフトウェアに対し、常駐エンジニアを派遣してサポートに当たらせています。Intel内部でも、コンパイラ開発をはじめとするソフトウェア開発に注力し、マルチスレッド化やいっそうのパフォーマンス向上を目指しています。さらに、パートナーにわれわれのロードマップを提示することで、将来のバージョンアップ計画を立てやすくしています。

 認定制度を展開し、ソフトウェア企業によるチューニングに役立てていただくということを行う一方で、われわれがソースコードの提供を受けて最適化を行うという活動も行っています。つまり、プロセス全体にまたがって協力しているのです。これらは、MMX2やハイパースレッディングのときにも行ってきたことですが、今後のデュアルコア化、マルチコア化においても同様の取り組みを進めていくつもりです。

―― 国内OEMベンダーとはどのような連携作業が進んでいるのでしょうか?

ワクスマン 実は来週(編集部注:今週のことを指す)、非常にエキサイティングな発表を行う計画です。これには、富士通やNEC、日立をはじめとする主要なパートナーも参加する予定になっていますが、それ以上のことはまだお話できません。

 ただ、今言えることは、Itaniumを提供していく上で日本のOEMパートナーは非常に重要であり、先導的な立場にあるということです。現にNECは、最高のトランザクション処理性能を誇る32ウェイのAsAmAサーバを開発していますし、日立とはプラットフォームのみならずミドルウェア技術に関しても協力を行っています。また富士通とは、基幹システム向けのLinuxシステム開発に関して提携を結んでいます。日本にはすでに幾つか成功を収めている顧客もおり、引き続きコラボレーションを展開していきます。

―― では最後にお伺いしますが、64ビットの世界はいったいいつ到来するとお考えですか?

ワクスマン Itaniumはフル64ビット対応ですが、それがいつ現実のものになるかはアプリケーションによって異なるでしょう。既にデータベースの世界では64ビットは実現されており、大容量のメモリ空間に対するニーズも存在します。一方でWebサーバなどのローエンドサーバの世界では、これからの数年間も、引き続き32ビットが主流となるでしょう。ワークステーションにしても、64ビットに対する需要があるのは上位20%くらいだと思います。

 ここで重要なのは、64ビットのハードウェアと64ビットのソリューションとは異なるという点です。来年までにIntelのサーバ向け製品はほぼすべてが64ビットプロセスになりますが、大事なのは、顧客のニーズが推進力になるということです。

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