企業のパフォーマンスマネジメントは初期段階、導入が今後の競争力を左右するInterview

BIで成功を収めたCognosだが、SAPをはじめとしたERPベンダーやMicrosoftも、今後新たに収益を上げていくための市場として、BIへの参加を表明している。

» 2004年06月30日 17時15分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 米Cognosは、年次ユーザーカンファレンス「Cognos Forum 2004」を米フロリダ州オーランドで開催している。ビジネス・インテリジェンス(BI)分野で成功を収めている同社だが、SAPをはじめとしたERPベンダーも、今後新たに収益を上げていくための市場として、BIへの参加を表明している。また、Microsoftも、Navision買収によってCRM市場に参入、BI事業への参入も進んでいるという。こうした競争に、Cognosはどのように対応していくのか。製品マーケティング担当バイスプレジデント、カレン・ウイリアム氏に話を聞いた。

カレン・ウイリアム氏。

――ITmedia 開催中のCognos Forumの印象は?

カレン 非常に興奮しています。多くのカスタマー、パートナーを含めて、1500人を超える参加者を集めました。展示場のCognos Worldでは、パートナーがCognos製品をベースしたソリューションを紹介しており、彼らからCognos製品に対するすばらしいフィードバックが来ています。今後の製品展開を考える上で役に立ちます。

 今回は、2週間ほど前にリリースしたばかりの分析ツール「PowerPlay 7.3」の実質的なお披露目になりました。Web上での分析やプランニングサポートの強化、Microsoft Officeとの親和性向上など、参加者からの引き合いが強いことを感じることができました。

 また、2日目の朝に行われた、アナリストによるパネルディスカッションでは、異なる意見を持つアナリストが一緒に議論が行われました。パフォーマンスマネジメントの定義についても、各アナリストによって意見が違い、たくさんの名称があります。GartnerはCPMと呼びますが、AMRリサーチのジョン・ハゲルティ氏はBPMと呼びます。これは、パフォーマンスマネジメント市場が初期段階にあるためで、こうした議論を重ねる上で、今後の進歩を見込むことができるのです。

――製品から見た現在のBI市場についてどう考えていますか?

カレン 大企業においては、「標準化」がキーワードになっています。かつては、ユーザー企業が標準化されたBIを導入することは難しかった。ベンダーが10あれば、10のソリューションがあったわけです。

 Cognosには、BI製品を提供するだけでなく、CPMで示されるように、エンタープライズレベルでパフォーマンスを管理していくことを目指しています。さまざまな製品が、プラグアンドプレイで動作し、分析やレポーティングといった機能を企業は利用できるようになります。パフォーマンスマネジメントの実現という旅全体を通じて、コグノスは企業をサポートできるのです。

――BIについては、SAPがBWで、またMicrosoftも参入しようとしています。

カレン SAPは現在NetWeaverをリリースし、異種システム間における統合というテーマにフォーカスしています。Cognosは現在、SAPと協力関係を結んでおり、むしろCognos製品は、SAPのNetWeaverによって強化されている状況です。つまり、現在、SAPは必ずしもライバルではなく、いい関係を築きつつある状況です。

 また、Microsoftについては、もちろん警戒するべきですが、現在のところ、製品もリリースされておらず、何とも言える状況ではありません。SMB(中堅中小)市場がMicrosoftの主なターゲット市場になると想像しています。

――日本市場をどう見ていますか?

カレン 日本はCognosにとって非常に重要な市場であると全社的に認識しています。BIの浸透率が比較的低いことも理由の1つです。CPMなどを導入し、指標を利用した経営にニーズがあります。Cognosなら、スコアカーディングを行うMetrics Managerで対応することができます。



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