移行進まぬWindowsとOffice、MSはアップグレード促進に5000万ドル投入

Microsoftは、チャネルパートナーに5000万ドルの資金を提供し、WindowsとOfficeのアップグレード促進を図る。バルマーCEOは先週、社員宛てに「旧版のOfficeとWindowsで十分間に合うという顧客の認識を改めさせる努力をしなければならない」としたばかりだ。(IDG)

» 2004年07月13日 14時03分 公開
[IDG Japan]
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 Microsoftは7月11日、ユーザーがWindowsとOfficeの従来版から「Windows XP」および「Office 2003」にアップグレードするのを支援するチャネルパートナーに5000万ドルの資金を提供すると発表した。

 さらにMicrosoftは、デスクトップの配備(デプロイ)を専門とする新スタッフを全世界で57名追加した。これらのスタッフは、同社のパートナーが顧客にアップグレードを促すのを支援する。カナダのトロントで開催された「Microsoft Worldwide Partner Conference」で、同社のグループプロダクトマネジャーを務めるマーク・ハッサル氏が明らかにしたもの。

 このアップグレードキャンペーンは、主として大企業と中規模企業をターゲットとしている。ハッサル氏によると、ほとんどの大企業ユーザーは既に、WindowsとOfficeの最新版を使用するライセンスを保有しているが、中規模企業はそういう状況ではないという。

 「Enterprise Agreement」ライセンスを購入した大企業は、ソフトウェアの最新版を配備した後に、アップグレードの権利が含まれる、企業向けのボリュームライセンス契約を再び結ぶ可能性が高い、とハッサル氏は説明する。Microsoftでは、中規模企業分野でもこうした最新のソフトウェアの販売を促進したいという。

 この取り組みは、7月1日から始まったMicrosoftの2005会計年度における基本販売戦略の一環となるもの。スティーブ・バルマーCEOは先週、Microsoftの従業員に宛てた年次戦略信書の中で、Microsoftは「顧客の認識、例えば、旧バージョンのOfficeとWindowsでも十分間に合うという認識を改めさせるために努力しなければならない」と述べている。

 今でもデスクトップ上で旧バージョンのWindowsを使っている企業は多い。昨年10月、「Gartner Symposium」の参加者を対象とした調査によると、Windows XPにアップグレードしたと答えたのは、登場して3年が経過しているにもかかわらず、わずか14%だった。調査に応じたのは186人で、彼らの企業は合計で130万台以上のデスクトップと46万台以上のノートPCを保有するという。

移行上の問題解決を支援

 5000万ドルのアップグレード資金は、顧客がWindowsとOfficeの最新版に移行するのを支援するMicrosoftのリセラーに提供される。ハッサル氏によると、彼らが解決すべき移行上の問題には、アプリケーションの互換性から始まって、新しいイメージをデスクトップシステムに適用する際の問題や、全般的なアップグレードコストまであるという。

 「パートナーを通じてサービスに資金を提供することで、顧客がデスクトップ配備にかかわる問題を解決するのに協力したい。配備コスト全体までカバーする資金を提供するわけではないが、われわれは配備を支援するつもりだ」とハッサル氏は話す。同氏は、具体的に資金をどう分配するかは明らかにしなかった。

 Microsoftが、顧客にアップグレードを促すようパートナーに発破をかけたのは今回が初めてではない。同社は昨年、「Windows XP Professional」と「Office XP Professional」または「Office Professional Edition 2003」の早期導入を促進するために「Business Desktop Deployment Solution Accelerator」というツールをリリースした。同社は現在、この取り組みを強化しており、新しいツールを追加しようとしている。その一つが、ITスタッフの手をほとんど煩わせることなしにアップグレードが行える「ゼロタッチ」型エンタープライズ配備ツールである。

 またMicrosoftでは、デスクトップ配備にフォーカスした二つの新しいサブコンピテンシーをMicrosoft Partner Programに追加する方針だ。「Desktop Deployment Solution」は、「Networking Infrastructure Solutions」コンピテンシーの一部として中規模企業を対象とし、「Desktop Lifecycle Management」は「Advanced Infrastructure Solutions」コンピテンシーの一部として大企業を対象とする。コンピテンシーとは、Microsoft Partner Programはパートナーの得意分野を規定したもの。

 Business Desktop Deployment Solution Acceleratorは、これらのサブコンピテンシーの主要部分となる。これに含まれるツールは、プロジェクト管理/技術ガイドライン、プロジェクトテンプレート、配備プロジェクト実施のためのスクリプトを提供する。配備ツールセットのエンタープライズ版は年末までにリリースされる予定。

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