電子メールを盗聴から守る法案、米議会に提出

ISPの電子メール傍受を認める判決を受けて、電子メールのプライバシーを強化する法案が米議会に提出された。(IDG)

» 2004年07月26日 19時03分 公開
[IDG Japan]
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 インターネットサービスプロバイダー(ISP)による電子書簡の傍受を認める6月の裁判所の判決を受けて、4人の米連邦議員が法案を提出した。この法案が通れば、人々の電子メールは法の下でプライバシー保護を受けることになる。

 ジェイ・インスレー下院議員(ワシントン州選出・民主党)ほか3人の議員は7月22日、「E-mail Privacy Act of 2004」を提出した。この法案は電子メールを連邦盗聴法の適用対象とするものだ。連邦盗聴法では、リアルタイムでの通信傍受に裁判所の命令が必要となる。この法案ではまた、サービス提供に必要な場合を除いては、民間のISPが加入者の電子メールにアクセスすることを禁じている。

物議醸す判決

 インスレー議員は、この法案を6月29日に連邦第1巡回区控訴裁が下した判決を受けて提出した。同裁判所は、ISPの副社長が加入者あてに送られたメールを傍受しても、盗聴法違反に問うことはできないとの判決を下した。盗聴法では、ISPが自社のサーバ内にある電子メールを読むことを禁じていないからだ。

 この判決は、1998年に稀覯本の目録サービスInterlocの副社長を務めていたブラッドフォード・C・カウンシルマン氏に対する盗聴法違反の容疑を棄却した地裁判決を支持するものだ。Interloc(後に別の会社に買収された)は顧客の書籍ディーラーに電子メールサービスを提供していた。1998年1月に、カウンシルマン氏は従業員に対し、ライバルの書籍販売業者Amazon.comから送られてくる電子メールを読むコンピュータコードを作成するよう従業員に命じた。

 プライバシー擁護派はこの判決を批判し、ISPのサーバ内にわずかな間置かれる電子メールにも、電話の会話と同等のプライバシー保護を与えるべきと主張している。この判決は、電子メールをISPや捜査機関によるスパイ行為にさらすおそれがあると彼らは言う。

メールを電話と同等に

 E-mail Privacy Act of 2004の支持者は、法律では電子メールを電話の通話と同様に扱うべきだとしている。

 「米国民にはもはや、電子メールなどのインターネット通信を使って内密にやり取りする権利を法律が守ってくれるという確信はない。裁判所が強力なプライバシーの水準を維持できないのなら、連邦議会は米国のプライバシー法を現代化するために行動を起こすだろう」とインスレー議員は声明文で述べている。

 この法案のほかの支持者は、ロスコー・バートレット議員(メリーランド州選出・共和党)、ジェフ・レイクス議員(アリゾナ州選出・共和党)、ウィリアム・デラハント議員(マサチューセッツ州選出・民主党)。

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