グループウェアは第4世代に――Oracle Collaboration Suiteはユーザーに何をもたらすか?Interview(1/2 ページ)

Oracle Collaboration Suiteは、従来のグループウェアの枠を超え、第4世代へと進化した。同製品で提供される機能は中小企業には無縁と思われるかもしれないが、低価格のパッケージ製品が登場するなど、情報の一元管理によるメリットを享受しやすい状況になりつつある。

» 2004年08月25日 21時35分 公開
[聞き手:西尾泰三,ITmedia]

 日本オラクルは先日、来春をメドに、全社員1448人を対象にした在宅勤務制度を導入することを発表した。出社の手間を省いて業務効率の向上を図るとともに、大規模災害などでオフィスが閉鎖された場合でも業務を継続しやすい体制を確保するのが狙いだ。こうした発表の裏には、同社がグローバルで導入したコラボレーションシステムである「Oracle Collaboration Suite」の存在がある。日本オラクルマーケティング本部、システム製品マーケティンググループ担当シニアマネージャーの相場宏二氏に、Oracle Collaboration Suiteの魅力を聞いた。

相場氏 「Oracle Collaboration Suiteは第4世代のコラボレーションシステム」と相場氏

ITmedia まず、「Oracle Collaboration Suite」がどのような製品なのか簡単に説明していただけますか?

相場 Oracle Collaboration Suiteは、データベースとアプリケーションサーバ上で開発された、いくつかのアプリケーションで構成される第4世代のコラボレーションシステムです。ドキュメント管理を行う「Oracle Files」、高いセキュリティを持ったメールサーバ「Oracle Email」、リアルタイムのWeb会議を行う「Oracle Web Conferencing」、スケジューリングシステム「Oracle Calendar」、そしてそれらの機能をモバイル端末から利用するための「Oracle Wireless」となります。これらの機能が1ユーザーあたり7500円で提供されます。

 クライアント側はWebブラウザとネットワーク環境さえあれば、標準ポート(80、443)を使って社外からWebブラウザ経由でこれらの機能にアクセスできるなど、社内だけでなく社外のコラボレーションも想定した製品だといえます。

ITmedia 「Oracle Web Conferencing」についてもう少し説明をいただけますか? 例えば競合である「Lotus Sametime」との違いは何でしょう?

相場 「Oracle Web Conferencing」は、インターネットを介し、画像・音声を利用したリアルタイム・オンラインミーティング環境を提供するものです。ポイントとしては、40K程度の狭い帯域でも十分なパフォーマンスが得られることです。実際にSametimeでは会議が行えなかったようなネットワーク環境のお客様でも、Oracleでは問題なく利用できたという事を伺っています。さらに価格面では、インターネット経由のゲストユーザーは無料で利用可能です。Sametimeと比べて、パフォーマンス・コストの面で優位にあるのではないでしょうか。

 こうしたメリットを活かすことで、単純なWeb会議システムとしての限定的な利用法だけではなく、eラーニングやヘルプデスクインターネットセミナーなど、活用の幅が広がると思います。実際に日本オラクルでも、同製品を使ってお客様のシステムの遠隔サポートを実現しています。

WebブラウザからOracle Collaboration Suiteにアクセスしたところ

ITmedia 「Oracle Email」で提供されるサーバサイド・ルールについて教えてください。

相場 サーバサイド・ルールとは、「Oracle Email」に組み込むことができるフィルタの一種で、特定のイベントが発生したときに、特定の動作をサーバ側で自動かつリアルタイムに実行させるもので、一種のメール監査機能だといえます。

 これにより可能となる処理として例えば、メールの中身をリアルタイムにスキャンして、「顧客情報」という単語を含むメールは配信不可にするであるとか、特定のドメイン、例えばオラクルの社員がmicrosoft.comにメールを送る場合は自動的にアーカイブするであるなど、さまざまな条件とそれに合致した場合のアクションを定義できます。当然ウイルスやスパムメールなどに対しても有効です。ある特定のサブジェクトを持つメールの添付ファイルは削除するなどのルールを設定すれば、アンチウイルスソフトのベンダーがパターンファイルで対応する前に社内で対応できてしまうのです。

 他社の製品であれば、サードパーティのツールを組み込むことでこれらの機能を実装できますが、それらを標準で実装しているのが強みとなるのです。メールでの情報漏えいやウイルスが問題となりつつある現在、かなりのニーズまでこの機能で対応できると考えています。

ITmedia 先ほど第4世代とありましたが、それと比べると現在の第3世代のエンタープライズ・コラボレーション環境は、非集中型で、マルチベンダー・システムに大きく依存した環境であると言えますね。第4世代のメリットはどのあたりですか?

相場 これまでのグループウェアというと、ネットワークの負荷が高く、性能が低かったため、どうしてもサーバの台数が多くなってしまうことで、一元的な管理が困難であり、情報の分散につながっていました。複数のサーバの横断検索ができないために必要な情報にたどり着くのが困難だったのです。データベースに統合することで、高いセキュリティレベルを実現しつつ、情報を有効活用できます。

 サーバ統合のメリットは、システム管理者およびハードウェアのコストを減らすことができますので、非常に高いコスト削減の可能性を持っているわけです。

 そのほかのメリットとしてはスケーラビリティが挙げられます。それまでのグループウェアが1サーバあたり数百ユーザーを想定しているのに対し、Oracle Collaboration Suiteの顧客であるThink.comでは、16万ユーザーが1つのメールサーバを使用しています。これらのスケーラビリティはRAC(Real Application Clusters)でクラスタ環境に対応していることで実現しています。もちろん、RACの使用料は標準のライセンス価格に含まれているほか、Oracle Application Server 10gで実装されたPKI機能を利用できる「Oracle Identity Management」を無料で利用可能です。

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