グループウェアは第4世代に――Oracle Collaboration Suiteはユーザーに何をもたらすか?Interview(2/2 ページ)

» 2004年08月25日 21時35分 公開
[聞き手:西尾泰三,ITmedia]
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ITmedia オラクル社内ですでに使われていると聞きました。それまでの環境とOracle Collaboration Suiteに移行した後で大きく変わった点はなんですか?

相場 オラクル社をグローバルで見ると、Oracle Collaboration Suiteの導入以前は、56カ国で97のドメインを持っていたため、ファイルサーバは1000台以上、メールサーバは97台以上ありました。しかし、今では1台のDBサーバしか存在していません。このファイルサーバで管理されているファイル数は2000万ドキュメント、ユーザーは6万ユーザーを越えています。これによるコストの削減効果ですが、日本円で年間に約5.5億のコスト削減を実現しています。

 情報が一元化されていることで、結果としてドキュメントの再利用率が高まりました。一つのキーワードで、全世界のユーザーの作成したドキュメントの全文検索が高速にできるのです。さらにワークスペースを使ったチームコラボレーション、プロジェクト毎に国や部門地域をまたがった共同作業が実現しています。

 また、Oracle Web Conferencingの導入以前は、部門ごとにRAINDANCEWebEXHipboneなど3つの会議システムを使っていました。このため、社員に対し3つのシステムを教育する必要があったなど、使い勝手の悪さがありました。これが1つになったことで社員の生産性の向上にもつながりました。

ITmedia オラクル社でのシステムはどのような構成ですか?

相場 Oracle Filesでは、Linuxサーバ(2CPU、メモリ4Gバイト)9台がプロトコルサーバなどとして動作しているほか、DBサーバにはSUNの「E6500」(20CPU)、ストレージにはNetApp製品(NettApp F880、15Tバイト)を使用しています。当初はすべてをSUNのサーバで構築していましたが、最終的にはすべてのサーバをLinuxサーバにする予定で、次のバージョンでDBサーバの部分もLinuxサーバ3台のRAC構成になる予定です。それによって耐障害性とコスト削減が同時に実現します。

 Oracle Emailのシステムは、HPのマシン3台でRAC環境を構築しています。それ以外に、SMTPサーバやIMAPサーバなどが存在しています。また、Oracle Web Conferencingは、Linuxの2CPUサーバ4台で、週にのべ130万もの会議参加者をさばいていいます。

日本国内でも大型案件が。しかしターゲットは100ユーザー規模から

ITmedia 先ほど全世界での導入実績が2000社を越えるとありましたが、国内での導入実績はどうですか?

相場 国内の最大規模では、ある国立大学では約3万ユーザー規模で導入いただいています。この大学では、学内のサーバとしてだけではなく、海外の研究者とのコラボレーション環境としても活用されているようです。このほか、大学や県の教育委員会など、官公庁、教育機関を中心に大規模な導入がされているほか、日本テレコムでは全社規模で導入いただいています(関連記事参照)

ITmedia 統合によりサーバの台数を減らせるということですが、現実的な構成では、Oracle Collaboration Suiteのシステムを構築するのに何台のサーバが必要ですか? また、具体的なターゲットはどんな規模の企業でしょう?

相場 米国で出している指針としては、CPUにXeon2.8GHzを2個、メモリ6Gバイトを搭載するマシン1台あれば、1000ユーザーの利用が可能だとしています。

 また、ターゲットとしては、100ユーザー規模の企業、つまり中小企業も視野に入れて考えています。すでにデルからは、PowerEdgeとOracle Filesなどを組み合わせたパッケージモデルが発表されています。100ユーザーライセンスやOS(Miracle Linux)、初期導入のサービスサポートなども含み、140万円程度で提供しています。

ITmedia 「Oracle Collaboration Suite」のフルな機能を顧客は求めているのですか?

相場 案件としては大きく2つあり、非常に大規模な全社レベルの案件と、大企業の部門レベルまたは中小企業からの案件に分かれます。特に製造業などではOracle Filesの需要が大きく、100ユーザーサイズのニーズが高いようです。

 また、サーバ統合でも「Oracle Files」の機能に注目されるお客様が多いようです。日本テレコムの事例でも、従来は80台以上あったファイルサーバを一元化するとともに、セキュリティ上の理由で従来は認めていなかったインターネット越しのファイルサーバアクセスも可能にするなどしています。

ITmedia 現状ではOracle9i RACをベースとしたパッケージとなっていますが、これが10gベースになったとき、システムはどう進化するのですか?

相場 確かに現在はOracle9i RACをベースとしていますが、来年初頭にリリース予定の次のバージョンで、Oracle 10gベースとなる予定です。Oracle 10gベースとなることで、DBそのもののパフォーマンスの向上のほか、Enterprise Managerからシステム全体を運用管理する事が可能となり、管理面の労力が大きく削減されることになるでしょう。

 エンドユーザーの目に触れる新機能としては、IMの統合、在籍確認といった機能でしょうか。余談ですが、日本オラクルでは先日在宅勤務に関する発表を行いましたが、会社の業務としてIMを使うと効率がよいというのが社内的には実証されています。

ITmedia ユーザーにはどのようにこの製品をアピールしていくつもりですか?

相場 マーケティング的な面でいうと、統合によるメリットを前面に出していきます。一元的な高速全文検索や、運用管理コストの削減。様々なメリットがシステム統合にはあります。しかしそれだけではなく、例えば初めて文書管理システムを入れるような小規模ユーザーも、前述のデルパッケージのような低価格を選んで頂く事で、十分なメリットを享受できるということをアピールしたいと思います。

 顧客情報をエクセルデータで管理している中小企業も多いと思います。しかし、このご時勢、そうした情報の流出は会社の存続にも関わります。そうしたとき、ファイルサーバをWindowsベースまたはSambaではなく、Oracle Collaboration Suiteを入れることで、DBとアプリケーションサーバの強力な個人認証機能とアクセス制御機能により、パフォーマンスだけでなく安心も手にできるのです。

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