「Intel移行」の阻止に動くSun

オーストラリアでは大手企業のIntelハードへの移行が相次いでいる。来週同国を訪問するSunのシュワルツCOOは、苦境に直面することになる。(IDG)

» 2004年09月24日 17時46分 公開
[IDG Japan]
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 米Sun Microsystemsの社長兼COO(最高執行責任者)ジョナサン・シュワルツ氏は、来週オーストラリアを訪れ、同社のビジョンについて語る予定だ。このところ同国ではCentrelinkやTelstraなどの有名企業を含む多くの企業が、インフラの主要部分に従来のSolaris・SPARCよりも、一般的なIntelマシンを選んでいる。

 Intelに移行した組織にはほかに、シドニー工科大学、TransACT、Tourism Victoriaなどがある。

 Tourism Victoriaのオンラインマネジャー、ポール・バロン氏は、オンライン部門のSunサーバ3台をWindows・Intelベースのマシンに置き換えることによるコスト削減効果は、無視できないほど大きかったと進んで認めている。

 「当社のSunサーバは問題なく動いていたが、Intelベースのハードを評価したところ、そちらの方が理にかなっているように思えた。さまざまな人がIntelベースのハードを使って満足している。性能が優れ、拡張可能だからだ。サーバを1台増やすだけでいい」(同氏)

 「当社には10台のIntelサーバがあり、2〜3台ダウンしたとしても何ら影響はない。それに簡単にIntelに乗り換えられる」と同氏。

 バロン氏は、Sunには満足していると認め、同社を「品質重視の企業」と評価している。この点で、シュワルツ氏がオーストラリアで直面する苦境が浮き彫りになっている。

 SunからIntelへの移行の原因はLinuxだと業界で言われていることについて、Linuxを考慮に入れなかったバロン氏は、その話は大げさだと語る。

 「OSは必ずしも問題にならない。Linuxは多くの要因の1つにすぎないし、LinuxまたはWindowsのソフトライセンスは小さなものだ。Sunが他社よりも安くて高品質なハードを作れるのであれば、それは素晴らしいことだが、実際にはそこに競争があるわけではない」(同氏)

 オーストラリア最大の民間建築会社BGCは、Sunのサーバ14台とシンクライアントSunRayを100台導入している。

 同社のITディレクター、アンドリュー・バッカーリッジ氏は、同社はSunに満足しているが、選択の自由は確保していると話す。

 「当社はSunRayに投資しており、これを長期的に使っていくことに関心を持っている。だがSunRayが役に立たなくなった場合に備え、レスディスク(Linuxベースのディスクレス端末プロジェクト)の初期計画を立てている」(同氏)

 各社がSunからIntelへ移行している理由は何だと思うかと聞いたところ、同氏は、LinuxはSolarisと同じことができるが、「ずっと優れている」と答えた。

 バッカーリッジ氏は、Sunが直接のライバルとされるAMDプロセッサを採用した理由について困惑を示し、この動きを「ちょっとしたミステリー」と表した。

 「SPARCはLinux向けの素晴らしいプラットフォームであり、64ビット仮想メモリで32ビットアプリケーションを実行できる。AMDを採用すると多少重複する」と同氏は語り、Sunが苦戦しているのはMicrosoftやLinux、Oracle、Dellのせいではなく、自身のせいだと付け加えた。

 Sunのエンタープライズシステム担当ナショナルプロダクトマネジャー、ロバート・ベッカー氏は、同社は最近まで顧客にx86ベースシステムの選択肢を提供していなかったが、同社のサーバ出荷台数が36%増と業界を上回る成長率を見せていると主張した。

 ベッカー氏はほかにも、x86システムでのSolaris、Linux、Windowsサポート、シンクライアントアーキテクチャでのRed Hat、SUSEのサポート、「前進の力となる」サーバ・デスクトップソフトのラインアップなど、顧客基盤を拡大する取り組みを挙げた。

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