コンテンツ管理システムとグループウェアをどう使い分ける?

日本ステレントが主催した「Stellentコンテンツ管理実践セミナー」において、CSIソリューションズの金子聡氏は、グループウェアとCMSの違いを示し、ユーザー事例を基に両者を連携させるメリットを紹介した。

» 2004年10月08日 20時09分 公開
[岩崎史絵,ITmedia]

 日本ステレントが主催した「Stellentコンテンツ管理実践セミナー」において、CSIソリューションズの営業企画部 事業開発課で主事を務める金子聡氏が、「グループウェアとの使い分け〜ロータスNotesデータ連携事例」をテーマに講演を行った。コンテンツ管理システム(CMS)とグループウェアの違いや、連携させることによる効果などを紹介した。

 金子氏は、「グループウェアとCMSの違いを理解して、両製品を適材適所で使い分けることが有効」と話す。グループウェアがユーザーニーズの拡大に対応しきれなくなり、それを補完あるいはリプレースするための手段として、CMSが注目されているという。

グループウェアに限界あり

 同氏は「グループウェアの歴史はNotesの歴史」と話し、Notesをグループウェアの標準製品として位置づける。Notesは、1990年代初頭に「ホワイトカラーの生産性向上」をキャッチフレーズに登場。「文書共有」「電子会議」という2つの主要機能により、企業における社員間のコミュニケーションや共同作業(コラボレーション)を可能にするツールとして評価され、市場に広く受け入れられた。さらに、電子メールやスケジューラー、ポータルなどの機能が追加され、Web環境にも対応していった。

 その後、ユーザー企業はグループウェアに、ISO文書管理などにも対応することを求めるようになった。実現するためには、データベースをまたがった文書検索やバージョン管理、ワークフロー管理といった機能が要求された。しかし、あくまでも「コミュニケーション&コラボレーション」を基本コンセプトとするNotesは、これに十分うまく対応することはできなかったという。

併用で効果的な情報系システムを

 一方で、CMSは、文書、Web、音声、動画など企業内に拡散している情報資産を効率的に管理するためのツールだ。基本機能は、コンテンツの登録、共同作業、コンテンツの配布の3つ。

 例えば、WordやExcelなど普段使っている文書のバージョン管理や、アクセス権限を設定することもでき、これでISOの要件にも対応できるようになる。

 また、Webコンテンツ機能では、デザインテンプレートの設計や管理が容易になるほか、制作者や、コンテンツの提供者および管理者の共同作業が円滑になるといったメリットもある。用途に応じて、アウトプット形態をHTMLやPDFに変換できるのもポイントとなっている。

 「グループウェアとCMSは重なる機能が多いが異なるソリューション。グループウェアのコミュニケーション&コラボレーション機能と併せて、従来グループウェアでは扱いきれなかったコンテンツをCMSで管理することで、より効果的な情報系システムが構築できる」(金子氏)

CSIの金子氏

「Lotus Notes Converter」による併用を実現

 金子氏は、「Notes/ステレントの連携事例」を紹介した。

 あるユーザー企業では、古くからNotesが利用されていたという。長年のユーザーということもあり、Notesのデータ量は膨大になり、頻繁にメンテナンスを行う必要があった。そのため、この企業はNotesに代わる新たな情報系インフラの構築を検討したという。

 同社では、Notesのデータ変換と管理の基盤として「Stellent Content Server」を選択。データ変換のために「Lotus Notes Converter」を利用している。Lotus Notes Converterは、Notesのデータベースをレプリケーションし、抽出対象となるデータを抽出する「Export Tools」、抽出されたNotesデータをマッピングしてStellent Content Serverへ登録する「Import Tools」の2つで構成されている。

 具体的には、Notes文書内のフィールドやフォーム情報を抽出し、Stellent Content Serverのメタデータテーブルにヒモづける。また、文書内に添付されているほかの文書も、1つの文書コンテンツとしてStellent Content Serverのデータベースに格納される。

 文書一覧を表示するビューでも、同じようにデータを抽出し、Stellent Content Serverのビュー用テーブル上で再構成していく。これにより、Notes文書のレイアウトやリンク、イメージなどの情報を損なわず、Webブラウザで表示させることができるという。

 さらに、Notes文書のレイアウトや文字フォント、色、画像などの情報を抽出して、Webコンテンツとして再構成する機能もLotus Notes Converterの標準機能で実装できる。また、列の並び順やフィールド、それにデータソートなどの情報をビューを利用して移行することも可能だ。

Notesとの連携に課題も

 だが、金子氏は「NotesをそのままStellentと連携させるには、いくつか技術的な課題もある」と加える。

 例えば、ほかのデータベース項目参照機能を再現できない、Notesのリッチテキスト内で表現されてしまう、マクロを用いた複雑なビューをそのまま移行できない、Notes特有の細かいアクセス制御情報をすべて実装できないといった課題が挙げられた。

 これらは、カスタマイズをしたり、Stellentと組み合わせるほかのパッケージ製品の機能に移行したりすることで解決できるとしている。

 同氏はさらに、連携におけるポイントとして、「既存のNotesデータベースの整理、Notesの掲示板をStellent側でどう表示するかなどの細かい部分も含め、どこまでStellentに移行するかを決めておくこと」を挙げる。Notesに入力された情報をStellent側で表示させるのか、その逆パターンも想定しているのか、いつまで併用を続けるのかといった判断もプロジェクトとして留意する必要があるとしている。

 ちなみに、この企業は、Stellentのほかに、別のパッケージも組み合わせて情報系システムを再構築した。将来的にはNotesを廃棄する予定としている。

 質疑応答の際に、来場者から、この企業におけるシステムのユーザー数、プロジェクトが完了するまでの期間について質問があった。同氏は「この事例は5000〜6000ユーザーという大規模なもの。プロジェクト期間は計画段階を含めて1年弱かかった」と答えている。

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