10月は、OASIS標準化団体の動きを始め、シンガポール国防省の大量導入、コミュニティでは4周年、関西オープンソース2004への参加などが主な出来事だった。また、OpenOffice.org 1.1.3日本語版リリースや、2.0アルファリリースも見逃せない。
先月の準備号に引き続き、10月もOpenOffice.orgの周りでは、たくさんの出来事がありました。普及が着々と進んでいることが分かるものばかりです。
まず最初は、ニュースから分かる最近の動きについて触れていきましょう。
「Open Office XML、ISO標準として採用の可能性」「Sun、OpenOfficeの標準化を求める――EUの取り組みに支持を表明」という2つのニュースがITmediaに掲載されましたが、これは要するにOpenOffice.orgのファイル形式をISO(国際標準規格)にしようという流れがあるのです。
現在、OASISという標準化団体が、ビジネス情報のデータ交換について標準化を進めています。この標準化作業のひとつとして、OASIS Open Documemt Formatという規格の策定が進んでいます。OpenOffice.orgのファイル形式は、この規格のベースになっています。そのためバージョン2.0では、ファイルの拡張子がsxw→oot(Open Office Text)というように変更になります。
このファイル形式がISO(国際標準規格)に採用されたら、Microsoft OfficeやLotus SuperOfficeなどの多くのオフィススィートが対応することになるでしょう。
IBMがEclipseベースでオフィススィートを開発するなんて話もあるので、それにも採用されるかもしれません。将来、OpenOffice.orgのライバルは、Eclipseなんて時代が来るかもしれませんね。
シンガポールのIT情報サイトComputer Timesによると、シンガポール国防省は、5000台の新設PCにOpenOffice.orgを導入しました。この移行は、同省で働く人々に、使用するオフィススィートの選択肢を与えることを目的としており、コストを削減する効果もあるそうです。
この日、OpenOffice.orgコミュニティは、創立4周年を迎えました。これに合わせて、WebサイトにOpenOffice.orgコミュニティマネージャ Louis Sua'rez-Potts氏のメッセージが公開されています(Louis Sua'rez-Pottsからのメッセージ、日本語、4th Birthday page、英語)。
ITmedia既報のように、大阪にて「関西オープンソース2004」が開催されました。
昨年に引き続き、OpenOffice.orgコミュニティのLouis Sua'rez-Potts氏が来日し、「Open Source Is the Future: What Does that Mean? 」(オープンソースは未来だ:それってどういう意味? )と題する講演を行いました。講演の様子については、レポート記事の通りです。
また、OpenOffice.org日本ユーザー会も展示ブースを出展し、OpenOffice.org 2.0のデモンストレーション、最新版CD配布などを行いました。関西在住で、日本ユーザー会でも重要な働きをしている近藤さんと小浦さんが活躍してくれました。
ITmediaでも報道があったように、OpenOffice.org 1.1.3日本語版がリリースされました。今回のバージョンは、バグフィックス版です(ユーザー会紹介ページ)。
特に目立った新機能はありませんが、細部に渡り品質向上が図られています。日本語版のリリースにあたっては、近藤さんを中心とした有志が、QAテスト(品質確認テスト)を行いました。また「かもめ焼きプロジェクト」というCD-ROMプロジェクトが、1.1.3CDイメージを開発/配布しています。
新しいアルファ版が公開されました。11月1日に公開された1.9.m58は重大な不具合があったらしく、続く3日に1.9.m60が公開されました。このアルファ版は、Ringサーバプロジェクトや、KDDI R&D Labsからダウンロードできます。
現在のアルファ版では、ワープロソフトの一太郎 8〜11とWordPerfectのファイル読み込みに対応しています。ただし、十分に評価されているとはいえません。ご興味のある方は、ぜひお試しください(OpenOffice.org 2.0英語ページ)。
PostgreSQL用のネイティブドライバが公開されています。
これまでJDBC経由では、OpenOffice.orgからプライマリキーのあるフィールドを作成できませんでした。また、ODBC経由ではLinuxでの設定が面倒でした。このネイティブドライバでは、このような問題が解消されています。
現在、OpenOffice.orgの禁則処理の改善について検討を進めています。これまでのバージョンでは禁則処理をぶら下がりにしているため、句読点や長音記号が欄外に表示されますが、あまり見栄えがよくないという意見が多く寄せらてきました。そこで、追い込み、追い出しを標準とすることを検討しています。
しかし、デフォルト値を変更した場合、幾つかの問題が予想されます。
たとえば、従来バージョンで作成した文書ファイルを新バージョンで開いた時、見かけやレイアウトが変わってしまう可能性があります。どのようなデフォルト値がよいのか、どのような変化なら許容できるのか、多くの人の意見を求めています。ご興味のある方は、OpenOffice.org日本ユーザー会 ディスカッションMLにご参加ください(Issuezilla:日本語禁則処理の仕様検討)。
ほかにもOpenOffice.orgについてや日本ユーザー会についてのご意見もOpenOffice.org日本ユーザー会掲示板で受け付けています。この記事の感想などもお寄せください。
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