「大阪でもやりまっせ」関西オープンソース2004開催(1/2 ページ)

10月22〜23日に「関西オープンソース2004」が開催。恒例となった関西での催しにキーマンが多数集った。また、同時に「関西コミュニティ大決戦」と「BSD Conference Japan 2004」も行われた。

» 2004年10月26日 07時39分 公開
[可知 豊,ITmedia]

 10月22〜23日の2日間、大阪の大阪産業創造館で「関西オープンソース2004」が開催された。

 多くのイベントが関東に集中する中、オープンソースソフトウェア(OSS)とその関連技術について、関西の地で情報を発信するイベントである。2002年から始まり今年で3回目となる。なお、これまでは「関西オープンソース+フリーウェア」というイベント名だったが、フリーソフトウェアの誤用という誤解を招きやすいという理由で今回からイベント名が変更されている。

 このほかに、オープンソースソフトウェアに限らずソフトウェア、ハードウェアの各種コミュニティが参加する「関西コミュニティ大決戦」、BSD系UNIXと関連技術に関わる人たちが一堂に会する「BSD Conference Japan 2004」(23日のみ)が同時開催された。

アジア各国と協調してオープンソースを推進する経産省

 最初の基調講演では、産総研・主任研究員の田代秀一氏が「産業経済省のOSS支援」と題した講演を行った。

 田代氏は、「経産省は、幾つかのオープンソースの推進活動に取り組んでいる。国内においてはオープンソースソフトウエア基盤整備事業やデスクトップ導入実験を行っている。

 国際活動としては、アジアOSSシンポジウムや日中韓OSS推進フォーラムなどを行っており、これと連動する形で、日本OSS推進フォーラムが設立した」と説明した。また「オープンソースでは、オープンでダイナミックな人材供給が必要であり、国はそのような環境を整えるための支援を行う。ときどき、日中韓でアジア版Linuxを共同開発すると報道されるが、特定のディストリビューションを開発することはない」と強調した。

 続いて、2番目の基調講演として、京都市総合企画局情報化推進室情報政策課の情報企画担当課長である豊田博一氏が、「京都市の高度情報化施策について」と題して、京都市における特徴的な取り組みと考え方について説明した。

産総研・主任研究員の田代秀一氏

オープンソースには多くの人々の協力が欠かせない

 昨年に引き続いて、オープンソースのオフィススィートOpenOffice.orgを開発するOpenOffice.orgコミュニティからは、コミュニティマネージャーのLouis Suarez-Potts氏が来日し、「Open Source Is the Future: What Does that Mean?」(オープンソースは未来だ:それってどういう意味?)と題する講演を行った。

 Suarez-Potts氏は、OpenOffice.orgの開発に参加するための難しさとして、「C++で650万行におよぶソースコード」「OpenOffice.orgの第一著作権者でありコミュニティの最も大きなスポンサーであるSunとの関係の難しさ」を挙げながらも、「OpenOffice.orgは多くの人々に使われている。すでに44言語にローカライズされており、プロジェクト開始以来のダウンロード数は3100万におよんでいる。これにはミラーやディストリビュータによる配布は含んでいない。そして、Red HatやNovellといった多くの企業と人材が開発に参加している」と説明した。

 また「オープンソースソフトウェアは、みんなでコストやリソースを分担するという社会契約の元に成立している。OpenOffice.orgにも、さらに多くの人材と企業に開発に参加してもらいたい」と訴えた。

 会場の参加者からの「MicrosoftとSunとの和解合意の中で、MicrosoftがOpenOffice.orgユーザーを訴える権利を確保しているという点をどう考えるか」という質問に対し、「SunはOpenOffice.orgコミュニティではないし、OpenOffice.orgコミュニティはSunではない。MicrosoftがOpenOffice.orgのユーザーを訴えることは可能であり、Sunにはそれを止める権利はない。しかし、実際にそのような訴訟が行われるかは、まったく別の問題だ」と答えた。

OpenOffice.orgコミュニティマネージャーのLouis Suarez-Potts氏
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