商品コードの標準化と日本を考えるOpinion:ITが変革する小売の姿(4/6 ページ)

» 2004年11月15日 14時48分 公開
[佐藤昭和,花王]

 「企業間を飛び交う」とは、受発注の際に商品を特定するために使われたり、売上情報を授受する際に使われたりすることだ。それが紙ベースの交換であっても、電子的な交換であっても同じだ。つまり、関連する各社(当然この中に小売業は含まれるが)は、14ケタの商品コードの受け渡しができるようにしておく必要がある。

 前述の13ケタのEANコードも12ケタのUPCコードも頭に0を埋めて14ケタ化されたGTINという商品コードとして企業間を飛び交うようになる。

「では、早い話が、新しいグローバル標準の商品コードとして、商品マスターに14ケタの項目を増やしておけばいいのか」という理解になるかもしれない。

 実はそれでも足りないのだ。この商品コードの新しい考え方のひとつに、受発注可能な荷姿ごとに商品コードを採番する、というものがある。つまり、従来の単品単位だけでなく、パレット単位に、梱単位に、そして内箱にも14ケタの商品コードを採番していく。

 「梱単位の採番」というと、ITFコードのことを思い出されるかもしれない。日本では16ケタのバーコードとして一般に認識されていると思うが、海外の多くの国では14ケタのITFコードを使っている。14ケタのGTINコードは、このITFコードをある意味で吸収する形になる。

 以上でGTINすべてを語り尽くせているわけではないが、初めて聞かれる方はその奥行きの深さ、広がりに驚かれるかもしれない。実はもっともっと広がりのある話なのである。

グローバル標準にもっと踏み込む

 ここで「GTINとは何か?」の説明は終えたいと思う。それはキャッチアップ型の思考回路にすぎないからだ。われわれは、「Why GTIN?」「How GTIN?」に踏み込まなくてはならない

 まず、Why GTIN? だ。このグローバル標準を進めている世界の消費財メーカーと小売業は、商品コードの標準化が目的ではない。あくまで手段だ。

 この先のシナリオはだいたいできていて、商品コードだけでなく、「取引先コードを標準化すること」「それらのマスター情報をGDS(Global Data Synchronization)というコンセプトに基づいて、メーカーから小売業までの流通過程に関係するする企業で共有すること」「サプライチェーンの“可視性”を上げるためにRFIDを活用すること」「それらをベースに新しいEDIの世界を築くこと」、そしてさらには、「各企業間をあたかもかつての社内システム間のように密接に結んでコラボレーションを進化させること」を目論んでいる。

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