デービス氏によると、この技術はネットワークベースのストレージを使用するコンピュータのみに対応する。現在、複数の実証試験プロジェクトで同技術を検証中だという。Katanaで管理されたシステム内のサーバは、OSではなく仮想マシンを起動する。この仮想マシンは、データセンターのリソースを「仮想コンピュータ」に集約する特殊なハードウェアによって管理され、仮想コンピュータがOSを起動する、とデービス氏は説明する。
ボストンにあるYankee Groupのアナリストで、Katanaの説明会に出席したダナ・ガードナー氏は、「OSの下でハードウェアを仮想化するというのが、同社の技術の最大の特徴だ」と話す。
ガードナー氏によると、Katanaでは仮想サーバ環境に少しずつプロセッサを追加していくことができるため、アプリケーションにコンピューティングパワーを追加するための柔軟な方法を求めているユーザーや、データセンターのリソースを有効活用したいと考えているユーザーにとって非常に魅力的だという。
Linuxカーネルにはスケジューラと呼ばれる部分に制約があるため、Katanaの仮想SMP(対称型マルチプロセッシング)マシンでは16個のプロセッサが限界となる。しかしガードナー氏は、4プロセッサあるいは8プロセッサのSMPマシンと同等のシステムを安価なデュアルプロセッサシステムで構築したいと考えているユーザーに訴求する可能性があるとみている。
この種の技術を販売したいと考えているベンダーは増えている。調査会社IDCの推定によると、2003年の仮想化ソフトウェアの売上高は43億ドルで、2008年には142億ドルに増加する見込みだ。
IBM、Hewlett-Packard、Microsoftといったメジャーベンダーに加え、Cassatt、Platform Computing、VMwareといった多数の小規模ベンダーもこの市場に参入した。
Katanaの説明会に参加したIDCのアナリスト、ダン・クズネツキー氏は、「これらのベンダーはそれぞれ、仮想環境を構築する手法を考案した」と話す。
「各社が最も苦労しているのは、元々仮想化を想定していないアプリケーションを変更しなくてもそのまま動作させることができる仮想環境をいかに構築するかという部分だ」と同氏は指摘する。
デービス氏によると、Katanaの技術者はこれを実現したという。
「ユーザーは、1台の物理的システムを複数の小さなシステムに切り分けたいと思うときもあるだろう。複数のシステムを1つに束ねたいときもあるだろう。可用性の高い仮想コンピュータを構築したいときもあるはずだ。われわれはこれをすべて実現した。しかもすべてがアプリケーションにとって透過的なのだ。正しいレベルで仮想化を行ったからだ」(同氏)
デービス氏は、Katana製品の名称や価格は明らかにしていない。
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