Zope(ゾープ)は、コンテンツ管理プラットフォームと称され、Webアプリケーションサ−バ(動的Webサイトの開発、実行)環境も同梱する高機能さが特徴のCMSだ。
Zopeは、米国発で多くのコミュニティ重視なCMSツールと比べ、システム言語がPython、それに伴うオブジェクト構造を用いているなど、ユニークなサーバサイドCMSツールとして知られている。HTTPサーバ、データベースを自前で用意しており、オールインワン環境としての側面、クロスプラットフォーム(Windows、Mac OS X、Linux、BSD、Solarisなど)、Webブラウザによる操作、豊富な機能拡張プラグインなどが特徴であり、操作性と高機能さを兼ね備えたツールだ。
この記事では、Linuxサーバ上にZopeをインストール及び設定し、Windowsクライアントからアクセス、操作をするというケースを例に紹介する。
サーバ側にLinuxを用いる場合、Zope本体はソース版でインストールする。システム言語となるPythonのインストールはここでは触れないが、インストール先として「/usr/local/bin/python」を想定している(従来バージョンのPythonが/usr/bin/pythonなどの場合でも、共存ができる)。
Zopeのダウンロードは、Zope.orgから行う。
ここでは、2004年12月執筆時現在で最新安定版のZope 2.7.3のソース版を使っている(Windows環境の場合は、インストーラ形式でPythonも同梱されている「Zope-2.7.3-0-win32.exe」がある)。
http://zope.org/Products/Zope/2.7.3/Zope-2.7.3-0.tgz
次にダウンロードしたアーカイブを解凍、インストールしていくが、Zopeには前述のように大別して2つの機能がある。
1. Zopeアプリケーション(サーバソフトウェアそのもの)
2. Zopeインスタンス(Webサイトのデータや設定の部分)
HTTPサーバであるApacheでいえば、前者がbinなどサーバ本体、後者がhtdocsやconfなどに当たる。
ここでは、例えば「/usr/local/zope/」下にZope関連すべてのファイルを置くものとして、Zopeアプリケーションを以下に入れるものとする。
/usr/local/zope/app/Zope273 |
また、Zopeインスタンスは以下に入れるものとする。
/usr/local/zope/instance/MyZopeSite1 |
$ tar zxvf Zope-2.7.3-0.tgz $ cd Zope-2.7.3-0 $ ./configure --prefix=/usr/local/zope/app/Zope273 --with-python=/usr/local/bin/python $ make $ su # make install |
なお、最初のconfigureは一瞬で終了するが、エラーではない。ここまでで、Zopeアプリケーションのインストールが終了となる。続けて(rootのまま)、Zopeインスタンスをひとつ作成しよう。
$ /usr/local/zope/app/Zope273/bin/mkzopeinstance.py |
上記の指定で対話式の設定が開始されるが、以下のように入力していけばよい。
Directory: /usr/local/zope/instance/MyZopeSite1(入れる場所) Username: admin(初期ユーザのアカウント名) Password: xxxxx(初期ユーザのパスワード) Verify Password: xxxxx(パスワード確認) |
Zopeインスタンスは上記の手順で幾つも作ることができる。ひとつのサーバソフトウェアを共有しつつ、データや設定はサイトごとに別々に持ち、複数のZopeサーバ(プロセス)を用意するといったことも可能だ。
今後、Zopeがバージョンアップした場合には、Zopeアプリケーション部だけをバージョンアップすればよい。Zopeインスタンスはそのまま利用し続けることが可能だ(bin/下の起動、終了スクリプトにある、Zopeアプリケーションのパスに当たる部分を、新バージョンのものに変更すればよい)。
続いて、サーバの設定方法に触れていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.