HPがモバイル市場で首位奪還へ――IBMのPC事業売却のチャンスに付け込む(2/2 ページ)

» 2005年02月03日 17時44分 公開
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 HPの新ノートPCは、緩衝方式の改良により内蔵HDDの安定性を高める「HP Mobile Data Protection System」などの信頼性強化機能が大きな目玉となっている。フォーレンザ氏によると、IBMおよび市場リーダーのDellも同様のHDD保護技術を採用しているが、HPの技術はノートPCが机から落下するといった大事故よりも、日常的な使用に伴う衝撃からHDDを保護することに重点を置いている点が異なるという。

 モバイルワーカーがオフィス内でノートPCを使用するときの使い勝手も改良された。「従来モデルよりも簡単にノートPCを接続でき、ボタン1つで取り外せるドッキングステーションを採用した」とフォーレンザ氏は話す。

 新ノートPCシリーズは全機種とも3月末までにリリースされる。一部のモデルは発表と同時にリリースされた。各製品の詳細はHPのWebサイトで見ることができる。

 クラーク氏によると、新しいモバイル技術を投入することによって、PC部門の利益率を犠牲にすることなく新規ユーザーを獲得するのがHPの目標だという。

 HPのシェーン・ロビンソンCTO(最高技術責任者)によると、HPの競争優位の源泉は同社の研究開発部門にあるという。2月2日に発表された新製品を含む各種ノートPCに搭載される新機能の多くを開発しているのが同部門だ。「こういった付加価値機能はHPをライバル各社から差別化するものであり、他社製品では見られない機能に対してユーザーは喜んでプレミアム価格を支払うのだ」と同氏は話す。

 PCビジネスは非常に利益率が低く、この数年で一貫して利益を上げているのはDellだけである。IBMがPC事業部の売却を決めたのも、利幅の薄い事業から撤退したいというのが1つの理由だ。HPは最近、利益率の高いプリンタ部門にPC部門を統合したが、その背景には、プリンタ部門の戦略をPCビジネスの収益拡大につなげるという狙いがある。

競合からシェアを奪え

 カリフォルニア州ラホーヤにあるCurrent Analysisのアナリスト、サム・バブナーニ氏によると、今後2年間のPC市場の成長率は1桁台にとどまると予想される中、企業が市場の成長率よりも速いペースでビジネスを拡大する唯一の手段は、競争相手からシェアを奪うことだという。

 「HPは市場の小売分野で幾つかの困難に直面している。この分野では、Gatewayや東芝などのベンダーが巻き返しを図っており、新製品を陳列する棚のスペースをめぐってHPと激しい競争を演じている」とバブナーニ氏は話す。

 今回発表されたのは主として企業市場に照準を合わせたものだが、HPの広報担当者によると、コンシューマー向けの新ノートPC製品も近く発表する予定だという。

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