顧客とのコミュニケーションにWebやメールが広く利用されるようになっているが幾つか問題があるという。今注目を浴びているのは請求書だという。
顧客とのコミュニケーションにWebやメールが広く利用されるようになっている。しかしながら、CRMやビジネスインテリジェンス(BI)などのソフトウェアを提供する米Group1 Softwareのジェフ・コーヘン氏は、「インターネットベースのマーケティングで企業は幾つかの問題に直面している」と指摘する。
たとえば、電子メールによる企業からのメッセージに対する消費者の開封率が、1、2年前と比較しても低下傾向にあるという。また、コールセンターが普及したことにより、消費者は営業を目的とした電話を受ける回数が増え、こうした電話が逆に企業イメージを損ねるといった悪影響も考えられるという。
また、従来のダイレクトメール(DM)を利用した「紙」のコミュニケーションと、インターネットや電子メールを活用したもののそれぞれのプラットフォームを維持しようとする場合は、コストが高くなるというデメリットも無視できなくなってくる。
現在米国では、「紙媒体によるコミュニケーションが見直されている」(同氏)という。中でも、従来はマーケティングツールとしては認識されていなかった請求書が、ワンツーワンマーケティングの切り札の1つとして注目されている。
米American Express(AMEX)はかつて、顧客に送付する利用明細書は、小さなメモ書きのようなものだった。レガシーシステムを利用していたため、フォーマットや印刷形式の柔軟性には限界があったという。そこで、同社は、Group1が提供するアプリケーション「DOC1」を導入した。請求書によるワンツーワンマーケティングを実行しようとしたものだ。
導入したことにより、同社は、顧客に送付する請求書を見やすいものへと自由にデザインできるようになった。また、全世界の利用明細を統合したシステムを構築したいという同社のニーズにも応えることができたという。
具体的にAMEXは、DO1を導入することにより、世界を3拠点に分けて利用明細を印刷するようになった。また、顧客のクレジットカードによる購買履歴に応じて、パーソナライズした広告を利用明細に印刷するようにしたことで、レスポンス率が10倍以上にまで向上したという
さらに、以前は同社のコールセンターへの問い合わせの多くが支払い明細に関するものだったが、DOC1の導入により、海外で買った商品の通貨レートなど、さまざまな情報を明細書に盛り込めるようになった。このため、問い合わせ電話が30%減少し、コールセンターにかかる運用コストの削減にもつなげることができたとしている。
group1は2004年の7月20日に、郵便や文書管理システムを提供する米PitneyBowesに買収されたことにより、同社の100%子会社となっている。DOC1は、PitneyBowesグループが展開する世界戦略「CCM(Customer Communication Management)」においてリリースするソフトウェアの第一弾として位置づけられている。
DOC1 Series 5の製品構成は、ERPやCRM、リレーションナルデータベースなど、さまざまな情報ソースデータを収集し、クレンジング処理も行う「DFS」、コンテンツ作成に利用する部品やビジネスルールを基に、請求書などの新たな文書を作成するためのデザインツール「Designer」、そして、デザインしたコンテンツを生成し、Webや電子メール、印刷、FAXなどさまざまな媒体へと配信するツールが「Generate & Print」。
導入企業は、顧客についてのさまざまな情報を考慮した上で、パーソナライズした情報を請求書などの文書上で提供することができ、顧客満足度アップを図ることができる。
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