Red Hatに関するSunの見解についてNovellとMandrakeに聞く(1/3 ページ)

Solaris 10、Red Hat、そして統合の進行する市場でLinuxディストリビューターは今何を考えているのか。NovellとMandrakeの見解を求めた。

» 2005年03月07日 15時45分 公開
[Jem-Matzan,japan.linux.com]
SourceForge.JP Magazine

 SunのScott McNealyは、以前の談話の中でRed HatはLinux市場を握っていると語ったが、それを耳にしたとき、NovellとMandrakesoftはこの見解をどう思うだろうか、聞いてみたら面白いだろうと思い立った。Francois Bancilhon(Mandrakesoft CEO)とCharlie Ungashick(Novell製品管理/マーケティング部門ディレクター)に電子メールで連絡をとり、Solaris 10、Red Hat、そして統合の進行する市場でいかに闘い抜くのか各人の見解を求めた。

NewsForge 他のLinuxディストリビューションと比較してSolaris 10をどう思うか、という質問にSunのCEO、Scott McNealyはこう答えました。「この業界に身を置いて20年以上になりますが、ウォール街が共にある限り、市場は得られます。思うに市場の頂点にあるのはRed Hatですね。[Linux市場を]勝ち取ったのです」。そこで質問ですが、あなたはRed Hatが本当にLinuxサーバ市場を制覇したと感じますか? それ以外の市場については? 他のLinuxディストリビューションが持たない独自の機能、製品、またはサービスを御社は提供していますか?

Francois Bancilhon いくつか指摘したいことがあります。第一に、今から2年後のLinux市場をまじめに予測できる人がいるでしょうか。5年後ならなおさらです。Red Hatは存在しないかもしれません。誰にわかるでしょうか。Linux市場はまだとても若く不安定です。また、急激な速さで成長していて、素晴らしいビジネスチャンスを生んでいます。現在、Red HatやNovellを含め、市場を本当に掌握する1企業はありません。競争は始まったばかりで、Mandrakesoftはゴールラインまで走り切るつもりでいます。

 第二に、ウォール街だけが世界ではありません。Red Hatは今のところ米国市場では先頭を走っていますが、国外ではまだ弱小です。EUが世界最大の経済圏であることは指摘するまでもないでしょう。

 ただし、おそらくMcNealyと私の見解が一致する点もあります。それは業界の統合が進行しているということです。一部のLinux企業は事業に行き詰まったり、買収されたりするでしょう。Mandrakesoftにはどちらの状況にも陥るつもりはありません。市場における新しい存在価値を獲得するため、さまざまなチャンスを視野に入れています。

Charlie Ungashick 数年前からSunはLinuxについていろいろと発言していますが、その影響は少数の人間が頭をかきむしる程度では済みません。ご承知のように、弊社はLinuxに関してSunと提携しています。GNOMEやEvolutionのようなLinux関連テクノロジに共同で取り組んでいますし、Novell のSUSE LinuxオペレーティングシステムはSun自身のJava Desktop Systemの基盤です。これからも、現在のエンタープライズにとって最善のLinuxオペレーティングシステムをSunに提供する予定です。

 Red Hatについてですが、市場の力学は変わりつつあると私たちは考えています。Red Hatが快走を楽しんでいるのは事実です。x86サーバ市場と北米では特にそうです。ただし、市場の力学はNovellに有利な方向に転じるでしょう。業界では、今後2〜3年のうちにLinuxサーバが広範囲に展開されると見ています。このような展開を後押しするのは、ハードウェアの刷新、新しいアプリケーションの登場、サポートのないWindows NTサーバの置き換え、そしてもちろんUnixからLinuxへの移行などです。

 SUSE Linuxは、多くの面でRed Hatより技術的に優れています。kernel 2.6をベースとする最速のパフォーマンスやシステム管理の容易さは、Linuxの世界におけるNovellの抜きん出た長所です。例えば、Novellのテクニカルサポートスタッフの人数はそれだけでRed Hatの全従業員数を上回っていますし、サポートプロフェッショナルは(Linuxのみならず)Unix、NetWare、Windowsのトレーニングを受けているのでどのような統合作業にも対応できます。Novellの免責プログラムは、Red Hatの限定的な保証を超えるものです。弊社の持つVARとシステムインテグレータのチャネルは強力です。そして、ファイル、印刷、ディレクトリ、ユーザー情報管理などの弊社の高度なネットワーキング機能は既にLinuxで動作しているのです。柔軟なテクニカルサポートプログラムとライセンス条項は顧客から高く評価されています。

 Novellのもう1つの優位は、強大なNetWareインストールベースを通じて広くアジアとインドの市場に足場を築いたことです。さらに、中国国内の組織と提携するだけでなく、大中華エリアの企業とも確かな関係を既に結んでいます。この地域は、Red Hat、Microsoft、IBM、HPが大急ぎで駆け付けてきた場所です。

NewsForge Solaris 10がLinuxディストリビューションより優れた選択肢である理由を尋ねたところ、McNealyはこう答えました。「Solaris 10は、より低コストであり、より速いIPスタックを備えています。LinuxにはDTrace、ZFS、以前のLinuxバイナリとの下位互換性、またはSunが提供するサービスとサポートはありません」。この意見についてはどう思われますか? Solaris 10に対抗できると思う製品やサービスはありますか?

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