連載
» 2005年03月11日 09時00分 UPDATE

dev Linux月刊「OpenOffice.orgコミュニティ通信」――3月号

いよいよ新版2.0のベータが公開。3月7日には日本語ベータ版のリリース候補も用意された。国内コミュニティは、この新版への期待を高めると共に、イベントを通して今後の幅広い理解を求めている。3月25〜26日には東京でカンファレンスを開催。

[可知 豊,ITmedia]

 3月に入っても関東では雪が降りました。先月の2月号記事冒頭でも、雪について取り上げていたので、もしかするとこの記事を書いていると降るのかも(そんなことは、ありません)……。さて、相変わらず春が待ち遠しい毎日ですが、オープンソースソフトウェアのオフィススイート「OpenOffice.org」は、新版2.0リリースに向けて着々と前進しています。この情報も最新のアップデートを後述します。

2月1日、OASIS OpenDocumentフォーマット動向が論文で

 OpenOffice.orgのボランティアであり、コミュニティ評議会の代表を務めるDaniel Carrera氏は、OASIS OpenDocumentフォーマットの動向を解説する論文「The Future is Open:What OpenDocument is and why you should care」(関連リンク)を発表しました。この論文では、フォーマットがどのように注目を集めたのか、そして各社がどのように反応したのかを解説しています。

 「OASIS OpenDocumentフォーマット」(関連リンク)とは、2.0で採用されたファイルフォーマット仕様です(実際には、XMLの仕様ですが)。KOffice 1.4のネイティブフォーマットにも採用されており、現在EU委員会のオフィシャルフォーマットの候補として検討されています。この論文の日本語訳「未来は開かれている:OpenDocumentとは何か、そしてなぜ気にかけるべきなのか」(関連リンク)を公開しています。筆者が中心となって翻訳作業を行い、ユーザー会の翻訳プロジェクトでレビューを行ったものです。ご協力いただいた方々に感謝いたします。

2月21日、1.1.4のNetBSD-2.0/i386版リリース

 ささき氏が、1.1.4のNetBSD-2.0/i386版独自ビルドを公開しました(関連リンク)。pkgsrcオリジナルには、NLSテーブルをLinuxと共用しないパッチを含めて作り上げています。日本語版、英語版、のほかに多くの言語版が用意されていますが、日本語文字コード化けを解消するためには、「OOo_1.1.4_NetBSDIntel-add-patch.tar.gz」というパッチファイルを当てる必要があります。

2月21日、StarSuite 8.0ベータ版公開

 サン・マイクロシステムズから「StarOffice」と「StarSuite 8.0」のベータ版が公開されました。日本語版のほか、中国語版、韓国語版もダウンロードできます(関連リンク)。これは、OpenOffice.org 2.0のアルファ版(1.9.m78)を基に作成されたものであり、日本語版には多くの日本語フォントが付属しています。

2月22日、2.0のスプラッシュススクリーン選考決定

 前号で紹介した2.0スプラッシュスクリーンの投票結果が発表されました(関連リンク)。多数の中から選ばれたのは、Brendan Wheelan氏の次の作品です。

0503_logo.png 画面■決定したOpenOffice.org 2.0のスプラッシュスクリーン

 投票には、何千人ものOpenOffice.orgコミュニティメンバーが参加しました。作者であるBrendan Wheelan氏は、OpenOffice.org開発チームの一員であるプログラマーです。「2.0スプラッシュスクリーン情報ページ」(関連リンク)に、彼のインタビューを掲載しています。

 なお、画像の右下にSunのロゴが付いていますが、OpenOffice.org自体がSunの製品という意味ではありません。その隣に「Build contributed in collaboration with the community by Sun Microsystems,inc.」とあるように、「コミュニティとの共同作業の中で、Sunがビルド作業に貢献した」ということです。このため、このロゴの意味合いは、Sunがバイナリーファイルを作成したことを表しています。

 オープンソースでは、ソースコードから誰でもバイナリーファイルを作成して配布できます。その時には、スプラッシュスクリーンを変更することもできます。たとえば、Debianプロジェクトが配布しているOpenOffice.orgでは、Debianのロゴが表示されています。あなたがバイナリーファイルを独自にビルドした場合には、好みのスプラッシュスクリーンを付加して配布可能です。

そして、最新情報として2.0ベータ版が登場

 この連載は、前の月に起きたコミュニティの話題を取り上げるというものですが、原稿を書いている最中に、2.0ベータ版がリリースされたという情報が入ってきました。注目すべきものであり、いち早く最新情報として紹介したいと思います(リリースノート(関連リンク、英文ページ)。新バージョンでは、次のような新機能を搭載したほか、120以上の機能を改良しました。前述したスプラッシュスクリーンも使われています。

  • Microsoft Officeとのファイル互換性が向上しました。
  • ユーザーインタフェースを改善し、いっそう使いやすくなりました。
  • データベース作成機能Baseが加わりました。
  • オープン標準のXMLファイル形式OASIS OpenDocumentフォーマットを採用しました。
  • Calcでは、1シートの最大行数が6万5536行になりました。

 現在、日本語版ベータも準備中です。この記事が掲載されるころには、準備が整っていると思います。ユーザー会サイトのトップページにアクセスしてみてください(関連リンク)。

ユーザーから開発者へのフィードバックを増やしたい

 この新バージョンの登場を機会に、さらに多くの人たちにOpenOffice.orgを使ってほしいと考えています。インターネットから容易にダウンロードができます。OpenOffice.orgのファイル容量は決して小さくないのですが(Windows版で86Mバイト)、ブロードバンドの普及とRingプロジェクトを始めとする多くのミラーサーバのおかげで、短時間でダウンロードできる人も増えました。

 また、ここITmediaのようにOpenOffice.orgの情報を取り上げてくれるメディアも増えてきました。2.0のリリースで、さらにユーザーが増えると思います。あなたもぜひいちど試してみてください。気に入ったら使ってください。そして、周りの人に勧めたり、使い方を教えてあげたりしてください。選択肢が増えることは大事なのです。

 次の課題は、ユーザーから開発者へのフィードバックを増やすことです。OpenOffice.orgコミュニティでは、IssueZilla(関連リンク)というバグトラックシステムによって、ユーザーからの不具合情報などを受け付けています。しかし、ここには英語で書き込む必要があり、単に書き込むだけでなく、それがどのような不具合なのか追加情報を求められるなどディスカッションも必要となります。国内から、誰でも容易にフィードバック可能という状況になっていないのが現状です。

 この問題を解消するため、ユーザー会のメンバーの中で、tora氏を始めとする有志が、メーリングリストや掲示板で挙がった不具合情報を検証したり、英文に訳してIssueZillaに登録するといった活動をしています(どうもありがとう)。しかし、この部分がまだまだ力不足です。

 情報をバケツリレーで送っている作業でありながら、バケツを渡す人が不足しているのです。これは、地道に取り組んでいかなければならない作業です。OpenOffice.orgの品質向上に興味がある人は、ユーザー会のメーリングリスト(関連リンク)に参加し、この作業を手伝ってください。

3月25、26日にOpenOffice.orgイベントを開催します

 ユーザーが増えるだけで、コミュニティに参加する人が増えなければ、オープンソースの活動はジリ貧になってしまうと思います。それは結局のところ、オープンソースソフトウェアの品質を落とすことになるでしょう。

 ユーザー会が、単なるユーザーの集まりにとどまっているわけにはいかないと戦略的な面も考えています。そのためには、OpenOffice.orgを多くの人に認知してもらうと同時に、ユーザー同士の相互交流、情報交換の場を通じてコミュニティ活動に参加してもらう必要があるでしょう。

 そこで、OpenOffice.orgに関するイベント「OpenOffice.orgカンファレンス2005」を開催することにしました。これは、「オープンソースカンファレンス2005」というイベントと同時開催するものです。3月25日(金)、26日(土)には、東京・新宿の日本電子専門学校の7号館で開催します。現在、開催準備を進めているところです。詳しい情報は、ユーザー会サイトのトップページに掲載します(関連リンク)。皆さんとお会いできることを楽しみにしています。

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