手元に届いた「イマドキの日本語スパムメール」実例編不定期集中企画(1/2 ページ)

前回の記事では、手元に届いた日本語スパムメールがどこから届いているか、全体的な傾向を分析してみた。続いて今度はその内容と形式を詳細に見ていこう。

» 2005年03月18日 18時44分 公開
[小林哲雄,ITmedia]

 前の記事では筆者の手元に届いた日本語スパムメールの全体的な傾向を分析してみたが、今度は個別に、その内容について見ていきたいと思う。

「ありがち」なスパムメールとは

 日本語スパムはまだ多様化という言葉を知らないのか、その非常に多くが「エロ系」で占められている。インターネット利用者の男性率が無茶苦茶高かった時代はとっくに過ぎ去ったにもかかわらず、男性向けエロのスパムばかりというのは芸がない。とは思うものの、こういうメールに引っかかるのが男性ばかりだとしたら少々悲しい。

 順不同で、いくつか具体例を挙げてみよう。

・出会い系サイト

 出会い系サイトの紹介メールである。確か出会い系サイトには法規制が加わったと思っていたのだが、勧誘自体は問題なしだっけ?……と思い、条文をナナメに見たところ、「児童が当該インターネット異性紹介事業を利用してはならない旨を明らか」にする必要がある、となっている。これに従うならば、無差別にばら撒くスパムの場合、「※18歳未満の方はご利用いただけません」などと但し書きを加えなければならないだろう。

 だが実際のところ、この条文(第7条)には罰則規定がない。これではバンバン勧誘したもの勝ち、になってしまうだろう。

・ビデオ/静止画

 いわゆるいかがわしいビデオや画像を売り込むメール。こうしたメールの宣伝文句を読むと、「規制のない海外から送っているから合法」などと書かれている。「アメリカではロリ物は『完全アウト』だよなぁ(トレーシー・ローズなんて言ったら年がばれるか)」と思いつつ、試しに広告サイトの1つにアクセスしてみたところ、日本語でいろいろ注意書きがあった。

 曰く、「送付国によって問題があるかもしれないのであらかじめご確認を」とか、「税関で止められた場合は一回に限り無料再送付」(二度目以降は送料を半分持て)だそうだ。

 つまり、この手のサイトは日本人を相手に、日本語で書かれており、基本的に日本にそういったブツを送ることを前提としているのだ。そう考えると、前者は完全に逃げの文章だし、後者は「法律上規制されている国にも送ります」という確信犯に見える。FBIは取り締まらないのだろうか?(やはり通報しないとダメ?)

・逆援交

 「大人のセレブとお金だけのドライなお付き合い」だそうです。けれどこっちの容姿やら性格を問わないわけないだろうなぁ。この類のスパムを試そうにも、こちらの個人情報を送る必要がある。広義のフィッシングに該当しそうなので、ちょっとできない。

・誤送信系

 「先日はどもでしたー、すごいサイト見つけちゃいました!」の類。誤送信をかます初心者ぶりを見せつつ、ISPのSMTPサーバを使わない上に大量送信してくる……というのは初心者のメッキが剥がれまくりですな。また最近は「ヨン様」宛ての誤送信メールが多い。本当にあのヨン様宛てだとしたら、日本語のメールなんか読めるわけないだろう! と憤慨。

・オレオレ改め振り込め詐欺

 アクセスしたこともないアダルトサイトの利用料金を払え! と迫ってくる、無差別絨毯爆撃支払い通知タイプ。この手の架空請求がひとしきり話題になってからも筆者の元にはなかなか届かなかったのだが、後述する「アダルトサイト利用料を払え!」というタイプで形を変えて復活する予感がある。

日本語スパマーのあの手この手

 という具合に日本語スパムは、内容がエロ系でワンパターンばかりなのもさることながら、形式についてもほとんどはテキスト系。HTMLを駆使するようなタイプはまだ少ない。もしかすると、PCだけでなく携帯電話に送ることも考慮しているのかもしれない。

 しかし、スパム技術の黎明期ならではだろうが、送信者側はそれでもいろいろと新たな「ネタ」「こざかしいテクニック」を追求しているようだ。そのいくつかを紹介しよう。

・適当メルマガを装う:その1

 勝手に送りつけておきながら、「誰かがあなたのメールアドレスを誤登録したからです」とうそぶくタイプ。メールマガジンを装うスパムも多いが、ちゃんとしたメールマガジンスを作成するには手間がかかる。ということで、最近は三行広告的な適当メルマガが増殖中だ。

 具体的には、広告のキャッチ&リンクだけでメールマガジンの体裁すらなしていない、というものだ(スタイルを見る限り、携帯電話向けかもしれない)。適当にサンプルを作ってみるとこんな感じになる。

あの世間で話題沸騰!のIT戦士の聖夜?

http://www.itmedia.co.jp/pcupdate/articles/0412/

24/news023.html

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ITMedia/小林哲雄

ktetsuo_i_t_m@yahoo.co.jp

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 ちなみに、ここに記載したメールアドレスは新たに作成したハニーポット用アドレスだ。この記事を取り込んだ機械登録スパムのチェックに使おうと思っている(が、そうそうウマクはいかないだろうなぁ)。このメールアドレスに来たメールはすべてスパムと思っているので読まないし、いたずらメールに関しては随時(送信元IP込みで)記事にするし、ISPから警告が来ても当方は一切関知しないのでそのつもりで。

・適当メルマガを装う:その2

 先ほど「HTML形式のメールは少ない」と書いたが、最近になって、HTML形式で中身は画像だけという形の「メールマガジン」が届くようになった。ソースを見ると、いわゆるWebバグと同じ形で、クリック時に受信者のメールアドレスを送信する仕組みになっているようだ。

 試しに、ソースを書き換えて送信されるメールアドレスを変更してから当該サイトにアクセスしてみた。規約を見ると、「トップページからリンクをクリックした時点で規約同意とみなし、金を振り込め(180日で5万円)」なんてふざけたことが書かれている。規約の中で「個体識別番号」などという用語を使うあたりに、携帯電話で問題となったワンクリック詐欺サイトを元にしているという印象を受けた。

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