メインフレームはSOAの世界でも光り輝く――IBMがz/OS用ソフトをバージョンアップ

日本IBMは3月25日、z/OS上で動作するメインフレーム向けソフトウェア「CICS」と「IBM WebSphere Application Server」の新バージョンを発表した。

» 2005年03月25日 17時11分 公開
[高橋睦美,ITmedia]

 「メインフレームはSOAの世界でも光を失わない」(日本IBMのWebSphere事業部長、山下晶夫氏)――。

 日本IBMは3月25日、z/OS上で動作するメインフレーム向けオンライントランザクションモニターの新バージョン「CICS Transaction Server for z/OS V.3.1(CICS TS V3.1)」と、アプリケーションサーバ「IBM WebSphere Application Server for z/OS, V6.0.1(WAS for z/OS, V6.0.1)」を発表した。バージョンアップの目玉は、メインフレームの世界とSOA/Webサービスの世界とを連携させる機能を強化した点だ。

 何かと「レガシー」「古い」というイメージで見られがちなメインフレーム。ときにはオープンシステムへの移行が当然のように言われる風潮もあった。

 しかし「(オープン系で)ホストと同程度の性能を出そうと設計すると、実はすごく高くつくし、トータルの管理コストもかさむ」(山下氏)。ここ10年来、「なくなる、なくなる」と言われてきたメインフレームだが、実際には消え去っていないどころか、「しばらく止まっていたホストへの投資だが、最近になって増加傾向が見られる。ホストの見直し、復権を肌で感じる」(同氏)という。

山下氏 「実はSOAは何も新しいものではなく、昔からあった普遍的な概念」とし、ただのブームには終わらないだろうと予測した山下氏

 一方で、企業を取り巻く環境が激変しているのも事実。新たなサービスへの要求が高まり、より柔軟にビジネスロジックを組み替えたいというニーズが浮上している。これを可能にするのがSOAという考え方だ。「既存の資産を有効に活用し、自由に組み替えながら利用したい」という要求に応え、COBOLなどをベースにした既存のアプリケーションから必要なサービスを切り出し、コンポーネント化して提供できるようにするという。

 ただ、これまではアプリケーションをWebサービス化する部分を、顧客が独自に生成する必要があった。これに対しCICS TS V3.1では、言語構造体からWSDLを作成したり、逆にWSDLから構造体を生成するユーティリティが提供される。これにより、レガシーアプリケーションとWebサービスの間の連携を、より少ない手間とコストで実現できるという。

 またWAS for z/OS, V6.0.1では、Webサービスを提供する「水道管」としての役割を担う機能として、ESB(Enterprise Service Bus)機能を実装した。またこのバージョンから、分散系(オープン系)のWASとの共通コード化を実現。オープン系でのコードを生かしながら、z/OS特有の高信頼性、障害対応といった機能を活用する、といったことも可能になる。

 つまり、CICSがWSDLというSOA/Webサービス向けの「接点」を簡単に持てるようになり、WAS for z/OSが備えたESBを通じて、他のさまざまなサービスと組み合わせ、利用できるようになる……という図式だ。パフォーマンスや他サービスとの連携といった要件に合わせて、既存のトランザクション環境とWebサービスの環境、どちらも利用できる仕組みを整えた。

 価格は、CICS TS V3.1の月額使用料金は83万6000円から、WAS for z/OS, V6.0.1は一括払いで147万2000円から。同じくz/OS上で動作するIMSについても、SOAP対応機能を提供する予定という。

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