Mozillaは衰え、Firefoxは栄える?

Mozilla FoundationはFirefoxでもMozilla Suiteと同じ間違いを犯し、企業ユーザーをのけ者にしてしまわないだろうか――そうならないことを願っている。


eWEEK

 昨年末に私がFirefox 1.0をレビューして以来、多くの人から「Firefoxは明らかに今出回っているブラウザの中で最高の選択肢なのか」「君なら率直に市場で最高のブラウザとしてFirefoxを勧めるか」という質問を受けた。

 私はレビューの中で「最高」という言葉を使ったが、これは非常に限定された意味だ。Firefoxは「今日手に入るスタンドアロン型Webブラウザの中で最高の選択肢」だと言ったのだ。

 eWEEK読者のビジネスマンも含め、特定のユーザーにはもっと優れた選択肢があると感じたため、「最高」という言葉をあまり広い意味では使わなかった。私が心に浮かべたのはMozilla Suiteだった。

 一部ユーザーにはMozilla Suiteの方が優れた選択肢になり得ると考えたのには、たくさんの理由がある。Mozillaの方が構成が容易だし、企業においてはアプリケーションを統合したスイートの方が複数のスタンドアロン型アプリケーションを使うよりも導入と管理が簡単だというのが主な理由だ。

 しかし、この主張には議論の余地があることが分かった。私たちが知る今のMozilla Suiteは、この先長くFirefoxと張り合っていけないだろう。Mozilla Foundationが同スイートの開発を現行のバージョン1.7で打ち切るという決定を下したからだ(3月12日の記事参照)

 3月10日に発表されたこの決定により、Mozilla開発者・ユーザーのコミュニティーにはかなりの怒りと混乱が巻き起こった――その主な原因は、Mozilla Foundationの首脳陣の対処の仕方にあった。多くの開発者はMozillaのバージョン1.8に向けて取り組んでいたため、自分たちの作業が無駄になるかもしれないと感じている。

 だが実際、Mozilla開発打ち切りの決定が意外なものだと言える人は誰もいない。およそ2年前、私は当時リリースされたばかりのMozillaのロードマップについての記事を書いた。ロードマップにはMozilla Suiteの終了と、スタンドアロン型ブラウザ(当時は「Firebird」と呼ばれていた)への移行が詳しく記されていた。

 このロードマップでは、Mozillaの開発はバージョン1.4で終わることになっていた。だから基本的には、Mozillaの開発は予定よりリリースポイントが3つ増え、予定より約2年長く続いたことになる。

 先の開発打ち切りの発表の中で、Mozilla Foundationはもう1年Mozilla Suiteのサポートを続けると述べている。またMozillaのコードはオープンソースであり、既にMozilla Foundationの外で開発を継続する計画が幾つか出てきている。もしかしたらこれらの計画では、Mozillaのコードネーム「SeaMonkey」を名称として使うかもしれない。

 こうした最近の展開が、Firefoxと代替ブラウザ全般の未来に大きな影響を及ぼすことになるだろうか? 最も大きな要因の1つは、企業ユーザーだろう。

 Netscapeが数年前にMozillaのβコードを基盤とした製品をリリースしたとき、私が主に批判したのはアプリケーションが企業ユーザーにとって使いにくい点だった。この点は特にいつも不満だった。Mozillaのビルド自体はビジネス環境での利用により適していたからだ。

 Mozilla FoundationはFirefoxでも同じ間違いを犯し、一般ユーザー基盤の獲得に夢中になり、企業ユーザーをのけ者にしてしまわないだろうか?

 Mozilla Suiteを使っている企業はあと1年間利用を続けられるが、その後は不透明だ。新たなSeaMonkeyの取り組みは、十分なサポートと更新を続けられるだけの開発者を集められるだろうか? Mozilla FoundationはFirefox、メールソフト「Thunderbird」、HTMLエディタ「Nvu」などのアプリケーションを企業にとってもっと使いやすくするための手を打ってくれるだろうか?

 最後の疑問は重要かもしれない。すべてのMozillaツールを一度にインストールできる機能や、Firefoxを配備・カスタマイズするためのIEAK(IE管理者キット)ライクなキットなど、企業に便利な機能が提供されれば、多くの企業はもっと気楽にFirefoxに移行するだろう。

 Mozilla Foundationの主要人物の中には非常に若い人もいるが、Web革命が始まったときから現役だった人もいることは分かっている。そうした「古顔」がNetscapeの転落から学んだ負の教訓だけでなく、Netscapeの台頭から学んだ正の教訓を忘れていないことを願いたい。

 Netscapeの初期の成長における最も重要な要素の1つは、ユーザーが同ブラウザを職場で使い、その後自宅でもダウンロードしたことだった。Mozilla Foundationが市場シェアを拡大し続けたいのなら、私には1つ、アドバイスすることがある――企業を大事にすることだ。

原文へのリンク

Editorial items that were originally published in the U.S. Edition of “eWEEK” are the copyrighted property of Ziff Davis Enterprise Inc. Copyright (c) 2010. All Rights Reserved.




キャリアアップ



エンタープライズ・ピックアップ

news004.jpg 世界で勝つ 強い日本企業のつくり方:利用契約の検討――グローバルクラウドで失敗しないために(前編)
2010年以降、クラウドサービスの利用がさらに加速する。サービスを利用する企業はプロバイダーのデータセンターに預けた自社情報を保護するために、法的な要素を理解しておかなければならない。企業が注意を払うべき法的な検討事項を整理する。

news001.jpg IT投資の新方程式:「Twitter使ってます」――現役MS社員が“社員力”を語る(前編)
マイクロソフトが掲げるプロモーションメッセージ「社員にチカラを。ITで企業力を。(以下、BIEB)」からは、ITで社員の生産性を向上することが業績の拡大につながる、といったニュアンスを感じる。そこで気になるのが「じゃあ、マイクロソフトの社員自身はどうなのよ?」ということ。3人の現役MS社員により実態が明らかになる……?

news010.jpg 産業構造を変えるか:「住宅クラウド」の衝撃
住宅都市工学研究所が進める「住宅クラウド」は、クラウドが企業のIT領域にとどまらず、ビジネスのやり方自体を変える可能性を示している。

news010.jpg オルタナティブな生き方 栗原進さん:ネットでリアルを楽しくしたい
SE出身の企業広報マンでありながら、趣味は落語で憧れの人はインディ・ジョーンズとアナログ全開の栗原さんに、ブログを書く理由やネットからはじまるコミュニケーションについて伺った。

news001.jpg 最強最速アルゴリズマー養成講座:トップクラスだけが知る「このアルゴリズムがすごい」――「探索」基礎最速マスター
プログラミングにおける重要な概念である「探索」を最速でマスターするために、今回は少し応用となる探索手法などを紹介しながら、その実践力を育成します。問題をグラフとして表現し、効率よく探索する方法をぜひ日常に生かしてみましょう。