日本IBMのISV強化プログラムを活用するOSKの戦略SEの武器になるISVソフトウェア(1/2 ページ)

ISVが提供するピンポイントのソフトウェアは、顧客の問題解決手段を模索するSEにとって最強のツールになるかもしれない(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[怒賀新也,ITmedia]

 パッケージソフトウェアを上手に活用することは、企業の情報システムを低コストで最適化するための基本となる考え方だ。「既製品」であるパッケージソフトウェアを利用して、ビジネスの生産性を一定レベル以上維持できるなら、活用するメリットは大きい。システムを自社開発するよりも、コストだけでなく、サポート面、将来にわたる拡張性をソフトウェアベンダーに任せることができるといった側面も見逃せない。

 逆に、パッケージソフトウェアを提供する側であるベンダーやISV(独立系ソフトウェアベンダー)にとっては、ひとたび製品を提供すると、ユーザーを一定期間サポートしなくてはならないことが1つのリスクになる。そのため、自社のパッケージソフトウェアを将来の技術環境の変化に柔軟に対応させるために、ソフトウェアの基盤となるデータベースやアプリケーションサーバを、オープンなプラットフォーム製品に対応させておくことが1つの有効な戦略になってくる。

 一例としては、大塚商会の100%子会社で、「他流試合のできるISV」をテーマにパッケージソフトウェアの開発を手がけるOSKが挙げられる。OSKは、企業内で共有する情報を柔軟に活用するための文書管理システムである「Visual Finder」(ビジュアルファインダー)を提供するISVだ。Visual Finderは、いわゆるナレッジマネジメントの機能を提供するソフトウェア。Webベース、クライアントのライセンスがフリーであることが特徴だ。また、企業の規定集から技術文書ならびにCAD図面まで、さまざまな文書管理ニーズに対応している。

 OSKは2月に、Visual FinderをIBMのデータベースであるDB2に対応させることを発表している。日本IBMが発表したISV向けの新たなプログラム「ソリューションビルダーエクスプレスポートフォリオ」(SBEP)に参加する形となった。IBMは、SBEPを活用することにより、ISVの開発生産性を2倍に高めることができるとして自信を見せている。

「いまだにオフコン時代のお客様もお付き合いさせていただいてます」と笑う田中氏。左はVisual Finderの生みの親でもあるOSKのソリューショセンター、シニアマネジャーの橋倉浩氏。

 マルチベンダーへの対応を基本とするOSKが今回、VisualFinderをDB2に対応させた理由について、田中氏は、「IBMが保持している販売チャネルの大きさを重視した」と話す。

 IBMは現在、さまざまな業種のパッケージソフトウェアを同社のミドルウェア製品に対応させることにより、「ISVエコシステム」を構築することに注力している。各ISVが持つソフトウェアの機能を組み合わせることによって、新たな企業アプリケーションを構築する環境を作り上げようとしているわけだ。そのため、ISVエコシステムに乗ることは、新たな販路を獲得することを意味することになる。

 また、田中氏は、DB2 Universal Database V8.2(コードネームはStinger)が.NET環境をサポートしたため、Windowsベースで作られたアプリケーションとの互換性も担保されることも重視したとも述べた。大企業を含め、より多くの企業にVisual Finderを提供したいという点でも、DB2に対応したことは合理的な決定であるわけだ。

 さらに、同氏は、パッケージソフトを提供する「ISVの責任」と、ミドルウェアという認識の高まりについても指摘する。かつて、ハードウェア、ミドルウェア、アプリケーションが一体になったいわゆるオフコンを受託開発していた同社。ISVの責任として、いまだに古いオフコンを利用している企業には、15年以上前の製品でもサポートしている。

 ISVの責任を今後も果たしていくという意味でも、大手ベンダーが提供するISVプログラムに参加することは一定の効果があると考えられる。

導入事例にみるVisual Finderの効果

 OSKは、Visual Finderの導入事例も紹介している。ビル・マンション管理を手がけるある企業では、情報を長期間にわたって紙ベースで蓄積することは、紙そのものが劣化することを考えると難しいと感じていたという。

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