ほんとに、IT Doesn't Matter?ITは経営戦略の実現に貢献しているのか(2/4 ページ)

» 2005年04月25日 00時00分 公開
[大野隆司(ヘッドストロングジャパン),ITmedia]

 結果として、企業の情報システムには、生販計画の立案を担う計画系エンジンや、グループ企業すべてをリアルタイムで連携することを目指したERPのモジュール群などが次第に増えていった。加えて、「マスターデータの整合性を維持するために過度の投資が行われたデータ管理システム」に象徴されるような、財務パフォーマンスの改善に貢献しているかが非常に怪しい情報システムが蓄積されていったのである。

そして、企業が学んだこと

 こうした過程を経て、日本企業の多くは、米国のいわゆる「ベストプラクティス」が、日本では必ずしもベストにはなり得ないことを学んだ。また、ITをオペレーションの中にどう位置付けるかを考えない限り、ベストプラクティスの導入を成功させることはできないことを痛感することになる。

 そもそも、ベストプラクティスはソフトウェア化された時点で既に賞味期限を失っているケースも多い。また、業務をパッケージに合わせ、システム導入作業を簡素化したとしても、実際にシステムが稼動した段階で、肝心の業務プロセスに大きな欠陥が発見されることもある。こうした本末転倒な結末を迎えることが、IT投資において決して珍しくないことを企業は思い知らされた。

 もちろん、「システム導入の前にまずは業務改革を」という意見は昔からあった。しかし、高い授業料を払った日本企業の多くは、「先進的なITは、自社のオペレーションを最適化するための必要条件ではない」ことを、理屈を超えて体感してしまったのである。

ITによる競争優位は短命

 企業がオペレーションを構築する際に最新のITにこだわらなくなっている理由として、ITが他社の模倣を許す可能性がある点も挙げられる。

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