ニュース
» 2005年04月26日 16時31分 UPDATE

古くて新しいWeb開発技術Ajax

Webアプリケーション開発の世界で注目を集める「Ajax」は、業界標準にのっとり、通常のブラウザに対応していることが強み。(IDG)

[IDG Japan]
IDG

 高速でインタラクティブで、デスクトップのようなGUIを持ったリッチブラウザが将来的に有望だという話は数年前からある。リッチなブラウジングに必要なクライアント/サーバソフトを提供しようとベンダーの小さな一団が登場し、このアプローチを指して「RIA」(リッチインターネットアプリケーション)なる略語を作り出した。RIAの筆頭ベンダーであるMacromediaは、同社のFlashクライアントをほとんどのデスクトップに載せ、最も普及した基本ブラウザであるMicrosoftのInternet Explorer(IE)への統合にも成功した。またMicrosoftは、次世代クライアントOSのLonghornにおけるRIA機能の統合を約束している。

 Macromedia Flashがそれほど普及しているのに、データとアプリケーションロジックをクライアント側でキャッシュしてオフラインでの閲覧ができるようにするなどの、RIA機能の利点を生かすように書かれたWebアプリケーションが少ないのはなぜだろう? 一部には、Flashを活用するWebアプリケーションも存在してはいるが、ほとんどの開発者は、IE、Mozilla Firefox、AppleのSafariといった基本ブラウザに共通に備わった機能しかターゲットにしていない。

 基本的に、RIAは、ごく当たり前の存在とはなっていないが故に、Webを独占するに至っていない。RIAは、Macromedia Flashのようなクライアント側コンポーネントの存在、あるいは、MicrosoftのExtensible Application Markup Language(XAML)のような仕様がクライアント側でサポートされていることを前提条件とするが、これらは、すべてのブラウザに等しく統合されているわけではない。RIAは、現在の作りにおいては「一度書いたらどこでも動く」というマスマーケット向けWebアプリケーションの原則に反している。ダウンロード可能コンポーネントや将来標準において予想されるアプローチで、Web上で全盛期を迎える準備の整っているものはまだない。

 最近、Webアプリケーション設計コンサルティング企業のAdaptive Pathが作り出した新たな略語「Ajax」(Asynchronous JavaScript + XML)が、リッチブラウジングの世界で、RIAの座を奪おうとしている。Ajaxは、RIAとは異なるアプローチで、RIAより広範に普及する可能性を秘めている。今日の基本ブラウザの大半が既に備えている機能の範囲内でやっていけるアプローチだ。

 AjaxもRIAも、同じ中核的事象――リッチブラウザ指向のWebプレゼンテーション層――を参照する。しかし、Ajaxがオープンな業界標準を参照するのに対し、RIAはMacromedia、Nexaweb Technologies、Altio、Laszlo Systemsといったメーカーの、部分的にプロプライエタリなアプローチの不親切なニュアンスを引きずっている。Ajaxは、(IEなどの基本ブラウザでサポートされている)XHTML、HTML、CSS、XSLTを使った標準ベースのクライアント側プレゼンテーション、JavaScriptを使った標準ベースのクライアント側処理、XMLHttpRequestを使った非同期データ取得を包含する。

 そう、皮肉な言い方をすれば、Ajaxはなんら革新的新技術を参照しておらず、一部の開発者が採用済みの、標準指向のベストプラクティスを参照しているだけだ。この点では、AjaxはRepresentational State Transfer(REST)やサービス指向アーキテクチャ(SOA)とそう変わらない。Dynamic HTMLも、実質的に新しいアプローチというより、むしろHTMLとJavaScriptを活用する形のWeb開発の新用語だった。

 定着するに従い、Ajaxは次の2〜3年間で主流となるであろうリッチブラウジングのアプローチを普及させることになる。これまでのWebの歴史を見れば、HTTP、HTML、JavaScriptなど、基本的なブラウジング環境に備わった機能を生かすシンプルなアプローチこそが、広範囲な成功を収めていることが分かる。

 当然ながら、Ajaxが一夜にしてリッチブラウジングの唯一無二のアプローチになることはないだろう。MicrosoftのAvalonMacromediaのFlexのようなプロプライエタリなアプローチとある程度共存していく必要がある。実際、RIAベンダーの数は増え続けている。Ajaxの人気上昇により、RIAベンダーのニッチな市場は定着する機会を持つ前に消えてしまうかもしれない。

 だが、それはエンタープライズWebアプリケーションの開発者には関係ない。彼らはリッチWebブラウジングの共通アプローチとしてAjaxを採用するだろう。Ajaxは、現在および将来のブラウザの大半でサポートされると開発者が安心して見なすことのできるアプローチなのだ。

Copyright(C) IDG Japan, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -