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» 2005年04月30日 23時35分 UPDATE

イギリスのAccess Devicesが独自の組み込みオープンソースOSを作った理由 (1/2)

Linuxとその他のオープンソースソフトウェアが品質においても生存可能性においてもはるかに優れていることを実感したAccess DevicesのCEOは、オープンソースを別の方法でも採用することに決めた。

[Tina-Gasperson,japan.linux.com]

 Access Devicesは、2001年に設立されたイギリスのデジタルビデオ機器設計・製造会社である。Accessは先ごろ、オープンソースコンサルティング企業Siriusの協力を得て、WindowsデスクトップからLinuxとOpenOffice.orgに完全に移行した。これにより、Linuxとその他のオープンソースソフトウェアが品質においても生存可能性においてもはるかに優れていることを実感した同社CEOのアンソニー・ワルトン氏は、オープンソースを別の方法でも採用することに決めた。

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 Access Devicesは、ヨーロッパとイギリスにおけるデジタルテレビ市場の急速な拡大に乗じるために、事業拡張に向けての準備が必要であると判断した。Microsoft製品を使用していたころは、同社はサーバとネットワークを管理するために少なくとも5人のITスタッフを抱えていた。この人数は多すぎる、とワルトン氏は考えた。「われわれはエンジニアリング企業であり、エンジニアでない社員はただのオーバーヘッドである」というのだ。

 それに加えて、同社ではWindowsのさまざまなエディションが混在しており、XPのノートブックをWindows 2000サーバに接続できないなどの問題が発生していた。新しいハードウェアを買うたびに、ITスタッフがXPをアンインストールし、当時の同社の標準だったWindows 2000にダウングレードするという作業を行っていた。「今のスタッフ数では1年以内に管理できなくなるだろうと誰もが思っていた」とワルトン氏は語っている。

昨年末にサーバ構造をLinuxに移行

 「われわれはまず、『オープンソース環境に移行したら何ができるようになるか』を考えた。もちろん、サーバシステムとしてはLinuxの方が明らかに勝っていた」 そこで、Access Devicesは2004年12月にサーバインフラストラクチャをLinuxに移行した。ワルトン氏によれば、Linuxサーバではすべてのバックアップがスムーズにいき、安定性もセキュリティも向上し、デスクトップとサーバの間の「純粋なパフォーマンス」もはるかに良くなったそうだ。

 次のステップはデスクトップの移行だ。ワルトン氏の技術スタッフの多くは、既に開発を容易にするためにデュアルブートシステムを使用していた。そこで同社は、Debian Linuxを使用する単一システムの設計と、国外のSirius ITとの共同作業に取り組み始めた。ワルトン氏はこう語っている。「われわれは、Windows環境で使用していたのと同等のパッケージを作ろうと試みた。非常に嬉しい驚きだったのは、OpenOffice.orgの安定性が高いことと、Wordとの互換性がきわめて高いこと、そしてどのバージョンのWordと比べても機能的に見劣りしないことだった」

 ワルトン氏がぶつかった唯一の課題は、広く使われているメール/スケジューリングプログラムMicrosoft Outlookの代わりを見つけることだった。「Thunderbirdを試したが、すべての面で同じとは言えなかった。統合の面でやや不都合があった」同社のスタッフは、会議のスケジュールを調整し、その会議に人を招待し、会議室を予約し、駐車場を予約し……といった作業をすべて1つのパッケージ内で実行できることに慣れていたのだ。ワルトン氏はこう述べている。「Thunderbirdは、メールの処理に関しては何の問題もなかった。しかし、周辺の作業がOutlookほどには統合されていなかった。同じことを行うには、ほかのパッケージを2つか3つ組み合わせる必要があった」しかし、ワルトン氏はAccess Devicesの要件にぴったりのオープンソースのメール/スケジューリングプログラムを見つけた。それがKDEのKontactだ。

 Access Devicesは現在、50台のワークステーションをDebian Linuxに移行している最中である。ワルトン氏によれば、2005年の末には少なくとも合計100台のワークステーションを用意する予定だそうだ。

 ワルトン氏とそのスタッフは、Linuxとオープンソースによって満足な結果を得ることができた。しかし、話はここで終わりではない。内部的なIT改革の成功を受けて、Access Devicesはこの恩義をオープンソースソフトウェアコミュニティに大々的に返そうと考えたのだ。

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