コラム
» 2005年05月18日 08時35分 UPDATE

Blog情報共有の未来:Blogで目指すべき「つながる」ことの意味――渡辺英輝氏

オリジナリティのないBlogはすぐにでも陳腐化していく。Blogで重要なのは情報を発信することよりも、Blogの読者と「つながる」ことである。いま個人に留まらず企業でも注目されているBlogは、その特性と使い方を十分に加味して取り組むべき「マイメディア」なのだ。

[渡辺英輝,ITmedia]

 Blogの登場によってインターネットは大きく変わった。Blogは「即時性」、「インタラクティブ性」、「アーカイブ能力」といったインターネットの特性を活用する術をより早く、より簡単に、より安価に万人に与えた。まさにインターネットに秘められたパワーがBlogによって引き出されたことによって、現在の「ブログブーム」が巻き起こっている。

 2005年4月時点でのBlogサービス大手7社の利用者数は約150万人以上と半年前の2倍に増え、その数は今もなお伸び続けているという。

 サーチエンジンの検索結果の上位に個人のBlogが表示されるのも今や一般的な出来事となった。Blogがサーチエンジンにヒットしやすく、アクセスが増加することにより、メディアとしての影響力も高くなる。すなわち個人がBlogを使って「マイメディア」を持つことが可能な時代となった。海外ではこれを「Consumer Generated Media」(CGM:消費者によって作成されたメディア)と呼んでいる。

フォークソノミーとの融合で知識共有文化へ

 ネット上に存在する大量のデータをユーザー自身が自由なキーワード(タグ)でもってラベルを追加する「タギング」という行為が流行っている。

 タグという新たな意味合いを付加価値として追加することでネット上に氾濫している情報を引き出しやすくするという利便性が魅力のひとつである。これらの行為はフォークソノミー(folksonomy)――人々(folks)と分類法(taxonomy)を合わせた造語――という名称で呼ばれている。そして、自分のために付けたタグを皆とシェアをするツールとして、写真共有サイト「Flickr」やソーシャルブックマークサイト「del.icio.us」が現在、注目されている。

 誰でも簡単に始められるBlogは現代の情報過多社会において、情報をさらに過多状態にするツールなのである。

 しかし、今後はフォークソノミー系ツールとの融合により情報の価値が引き出されやすくなることが大いに期待されている。自分のために何気なく書いたBlogの記事が、まったく知らない人の役に立ったというケースは現在でもあるが、今後フォークソノミーとの融合によってそういったケースはより増えていくだろう。

 今後の個人Blogは、自分のためが皆のためになるような知識共有文化への発展を遂げることを是非期待したい。

ビジネスブログは「つながる」ためにある

 「ブログを使ってビジネスを成功させたい」。

 Blogブームの影響で最近はこのような相談を受けることが多い。Blogを活用して何かを成し遂げたいと思っている人には、ひとつ認識しておいてほしいことがある。それは、オリジナリティのないBlogはすぐにでも陳腐化していくであろうということだ。

 Blogで重要なのは情報を発信することよりも、Blogの読者と「つながる」ことである。パーソナリティ(個性)とホスピタリティ(おもてなし)。この2つがしっかりとしているBlogは、読者とのつながりが深い。

 誰もが情報発信ができる時代だからこそ、独自の視点が重要になる。さらに、そこに誠意や親しみが感じられれば読者はファンになってくれる可能性が高い。誰が書いても同じような内容は心に響かないし、読者もそこに「つながる」はずがないのだ。Blogが通常のWebサイトよりもどこかリアルに近い感覚があるのはこのような理由からだろう。「ビジネスブログ」で成功を収めるためには、この「リアルに近い感覚」という点に注目すべきである。

信頼感や親近感で深い関係を構築

 『60分であなたもブランド戦略家』の著者、イドリス・ムーティ氏は、ブランドについてこう書いている。

 「信頼に基づき価値を生み出すような関係性を人はブランドと呼ぶ」。

 読者とのつながりを大切にして「ビジネスブログ」を運営していくことにより、自然と信頼感や親近感は深まっていく。こうして時間をかけて深い関係性を生み出すことにより、ビジネスブログはブランディングツールとなり得るのだ。

 ブランディングツールとしてのビジネスブログ展開例をひとつ考えてみよう。まず最初に自社製品やサービスについて書いてあるブログを「FeedBack」や「Livedoorの未来検索」などのBlog検索エンジンを使って探し出し、顧客の生の声を収集する。収集した顧客の声に対する反応を記事としてまとめ、トラックバックを使って顧客のBlogとつながることを試みる。そうして吸い上げた顧客の声をサービスや商品へ実際に反映していく経過をBlogで発信するのだ。

 実際のところ、ここで挙げた展開例のように企業が積極的に個人とダイレクトにつながることを試みるには、いろいろと課題が多く、リスクも伴うためにハードルが高いのが現状だ。しかし、「マイメディア」時代が到来し、メディアのパワーバランスが個人へと徐々にシフトしつつあることを認識しなければならない。

 企業は個人とダイレクトにコミュニケーションをとる最適な方法を「ビジネスブログ」を使って模索し始めるべきである。この新たなコミュニケーション方法を見出すこと、それこそが今後の「ビジネスブログ」の真価が問われる部分になるであろう。

目的を見失わずに

 「何の為にブログを書くのか?」

 個人でブログを運用するにしても、「ビジネスブログ」の場合でも目的は千差万別にある。すなわち、評価基準も目的の数だけ存在する。

 「ブログを通じて自分は何を得ようとしているのか?」

 常に自問自答をしていきながらブログを運営していくことで今後目指すものは自ずと見えてくるであろう。

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