コラム
» 2005年05月19日 16時15分 UPDATE

Blog情報共有の未来:「ビジネスブログ」は企業にとっての福音か――小暮正人氏

Blogのビジネス活用の現場は、ホームページ登場のころと似ているかもしれない。歴史は繰り返されるものだが、今まさに、マスメディアも挙げてのBlogブームが到来している。果たしてBlogは、企業に幸運をもたらす“魔法のツール”なのだろうか?

[小暮正人,ITmedia]

ブームの再来

 約10年前に巻き起こったインターネットブームの後、企業はこぞって自社ホームページの立ち上げを急いだ。「ホームページ程度はなくては」という理由から、さしたる考えやコンセプトもなく立ち上げられ、名刺に刷り込まれたURLは一種のステータスでもあった。

 当時、インターネットの利用者数が今とは比べものにならないほど少なかったせいもあり、ホームページが企業の営業活動に大きく貢献するという点はあまり着目されておらず、ブームに乗って作られたホームページたちは、その後なんの利益ももたらさずに朽ちていったのである。

 時代は変わり、“ホームページ”の時と同じように、“Blog”がもてはやされている。Blogのビジネス利用が模索され、起業家が、企業が、こぞってBlogを立ち上げていく様は、まさにかつてのそれを思い起こさせるのに十分である。

 ホームページでの反省をもとに、積極的な広報やBlogの持つSEO効果に着目するなど、きちんとした目的やコンセプトを持っているBlogが誕生する一方で、ホームページブームと同様に「Blogをはじめておかなくては」という、いわゆるBlogを持つこと自体が目的化してしまっているケースも多いように見受けられる。

「ビジネスブログ」は“魔法のツール”なのか?

 現在あるホームページをBlog化するだけで、状況が一変するということはあり得ない。

 それは、Blogが存在することに意義があるのではなく、あくまでも企業がどんな内容をどのように発信するのかという、コンテンツにこそ重要な意味があるからである。

 Blogを導入する際に気をつけるべきことは、

  • Blogは「手段」であり「目的」ではない

という、ごくごく当たり前のことなのである。当たり前のことなのだが、サービス普及期にブームが巻き起こると、見落とされがちになってしまう。

 ビジネスBlogを立ち上げるからには、少なくとも何らかの目に見える形での効果が期待されており「問い合わせが増えた」「アクセス数が増えた」「顧客の意見を知ることができた」等、営業活動に活かされてこそビジネスBlogの真価が発揮されたと言えるだろう。

 また、更新が滞っていたホームページや、どうしても検索エンジンからの訪問者を獲得できずにいたホームページの膠着した状態から脱出するツールとして、時に大きな役割を果たすことがあるのも事実である。

 このようなことを踏まえ、Blog導入を検討している企業には今一度考えてみて欲しい。「そもそもBlogが必要なのかどうか」と。

ビジネスBlog運用の注意点

 ビジネスBlogの導入には、

  • 既存サイトの更新を簡単にするためのCMSとして
  • ある製品・サービス用に既存の本店サイトとは別に支店サイトを立ち上げる

といった利用方法が考えられる。

 前者の場合、更新を社内で気軽に行えるようになるため、コスト削減効果を実感している企業が多いようである。

 後者の場合は、新たにサイトを立ち上げるため、本店サイトを修正するなどの現状に及ぼす影響が少なく、またアクセス解析による効果測定もしやすいことから、Blog導入を検討している企業にはお薦めの方法の1つである。製品ごとにサイトを立ち上げるのはSEOにも効果的だ。

 自社の現状を分析し、Blogが必要であるかどうか、そして必要であるならば、どのような形態で導入するのが望ましいかを十分に検討することが重要である。

 忘れてはいけないのは「無理してBlog化する必要はない」ということだ。Blog構築の先には、運用フェーズが待っており、何よりそれがBlog運営の肝となるからである。作り切りではなく、更新して成長させていくことにこそ、Blogを採用するメリットがあると言っても良いだろう。

  • 人的リソースの問題(誰が書くのか)
  • 更新フローの問題(どのように書くのか)
  • コメント/トラックバックの管理は誰がするのか

 これらを踏まえた上で「コストの問題」が挙げられる。繰り返しになるが、Blogは作っておしまいではなく、続けていくことにこそ意義がある。事前に運用面についても十分に検討しておく必要があり、決して安易に始めることはできないことはお分かりいただけるだろう。

 企業の広報やマーケティングにBlogは大きな効果をもたらしてくれる。それは間違いないことである。しかし、最大の効果が発揮されるのは、きちんとした企画を整え、運用面についても十分に配慮がなされた場合である。

 実はこうした問題はBlogに限った話ではなく、通常のホームページ構築、運用でもまったく同じことが言えるだろう。Blogは“魔法のツール”ではない。使う人次第で輝きもすれば、錆び付いてしまうこともあるのだ。

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