Skypeをビジネス利用する際、既存の情報システムとの連携が必要になるケースは多いだろう。Skypeと他アプリケーションとの連携方法にはいくつかレベルがあり、密接度に応じて実装量が変わる。Part3では、まずSkypeが提供するシンプルな連携方法を解説し、「マルチスケジューラ」を例にアプリケーション連携の実際を紹介する。(関連特集)
N+I NETWORK Guide 5月号(2005年)より転載しています
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●Webとの連携「callto:タグ」
まずは、簡易な連携として、WebアプリケーションまたはWebサイトにSkype通話の開始リンクをつける方法だ。HTMLには、Webとメールの簡易連携のために「mailto:」というキーワードがある。mailto:の使い方は、
<a href="mailto:mail@address">mail@address</a>
のようにタグを使用し、参照先にmailto:キーワードとメールアドレスをつける。これにならって、Skypeでは「callto:」というキーワードを使用してWebと簡単に連携することができる。つまり、
<a href="callto://Skype名>Skype名</a>
という具合だ。そのPCにSkypeがインストールされていれば、Webページ上でSkype名のリンク(*1)をクリックすると、そのSkype_Name宛にSkype通話が開始する(図1)。
HTMLが記述できるところであればどこでも有効なので、社内の名簿などに利用するなどの活用法が考えられる。
●メールとの簡易連携
多くのメールクライアントは、メール本文中に「http://〜」という記述があると自動的にリンクを生成する。また、中にはOutlookのように「callto://〜」という記述に対してもリンクを作るものがある(図2)。そのようなメールクライアントを使っているユーザーがSkypeをインストールしていれば、たとえば「callto://Skype名」というリンクをクリックすると、Skype通話を発信することができる。
ところで、なぜcallto:キーワードを使うと自動的にリンクになるのだろうか。実はcallto:は、もともとマイクロソフトのNetMeeting用に用意されたものなのだ。そのためcallto:キーワードはデフォルトでNetMeetingに関連付けられている。ただし、ファイルの拡張子のように、後から関連付けの変更が可能だ。Skypeはインストールされる際に、自分自身に関連付けられるようにレジストリ値を変更する。
●calltoではオンライン状態はわからない
calltoを使った連携は、単にSkypeをキックするだけなので、ユーザーのオンライン情報などは当然わからない。ユーザーのプロフィール取得やチャット履歴の表示など、より詳細な連携が必要な場合は、Skype専用のAPIを使う。
Skypeとの密接な連携を考えるなら、Skypeが公開している「Skype Public API」(以下、Skype API)を利用する必要がある。
●Windowsメッセージを介した利用
実は、Skype APIは単独で存在するものではなく、Skypeクライアントに付属してくる。つまり、Skype APIを使用するには、使用したいPCにSkypeをインストールしなければならない。逆にいえば、SkypeがインストールされているPCでは、APIの利用が可能ということだ。
APIといえば、普通C++やJavaのクラスライブラリ、C言語の関数のセットを連想するだろう。ところが、Skype APIへのアクセス方法はこれらとは毛色が異なり、Windowsメッセージを利用したものになっている。つまり、Skypeにアクセスする必要があるアプリケーションは、SkypeクライアントとWindowsメッセージをやり取りする。Skypeクライアントが解釈できるWindowsメッセージ、または発行するWindowsメッセージ群を公開しているのがSkype APIである。
*1 Skype社のWebサイト(http://www.skype.net/community/skypemebuttons.html)ではリンクに使用できる「Skype Me!」ボタンの画像や、設置のためのHTMLサンプルが提供されている。
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