この記事は秀和システム社発刊の書籍『コンセント、抜けてます。』の一部を許可を得て転載しています(特集:顧客満足度ナンバーワンSEの条件)
口頭はもちろん、文書やExcel表、PowerPointまで使って説明したのに、「そんなこと聞いてない」、「てっきりこうだと思っていた」などとあとで言い出す方々がいらっしゃいます。
もはや定説状態ですが、クライアントはこっちの話を聞いてくれません。自分の主張が通るかどうか、それだけがかなり重要らしいです。こっちはこういうことがしたいんだ、ということしか考えてくれないので、「そのためにはこれこれこういう仕様で、こういう設計にして……」と説明しながら基本設計を詰めていくわけですが、その過程からして「聞いちゃいねえ」状態です。
だいたい1カ月もするとその効果が現れてきまして、「え、そうだっけ?」、「聞いてないよ」と始まります。こちらは文書にしてあるので、「仕様書の12P に書いてあります」と指摘すると、「いや、それはそうかもしれないけど、こっちはそれじゃ困るのよ」といってきます。そこでまた設計から仕様変更を余儀なくされるわけですが、この段階でさらにクライアントの思い込みが積み重なっていきます。
「自分がこう思っているから、きっとこうなるに違いない」というやつです。そんなの形にしてくれないとわかるわけないのですが、どうも以心伝心あるいはテレパシーでちゃんと伝えたつもりらしいのです。こっちはエスパーじゃないんで、そういうことされてもわからないんですがねぇ。
栗林 彰(くりばやし あきら)
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