Longhorn失速というチャンスはあるにせよ、「Mactel」が話題をさらい、Linuxが関心を集める今、OpenSolarisは2〜3年前に登場していた方が注目されただろう。
ついにSunのOpenSolarisの時がやってきた。6月14日、たくさんのソースコード――ビギナー向けのインストーラはないが――が市場に届けられた(6月15日の記事参照)。
それでもある意味では、今は(夏の熱気が押し寄せているものの)OpenSolarisが登場するにはちょうどいい時期だ。
週を経るごとに、MicrosoftのLonghornは素晴らしい機能を次々と落としていっているようだ。今やこのOSは、Windows XPの高価なサービスパック程度のものにしか見えない。
最近、シェルとスクリプト言語の素晴らしいコンビネーションであるMonadの搭載が取りやめになったのは、Longhornファンにとってつらいことに違いない。
Microsoft支持者は、「Longhorn帝は丸裸だ」と言う人たちにぶつけたいことをすべてぶつければいい。
しかしMicrosoftは実際、次世代OSでへまをやっているように思える。
MicrosoftがLonghornで動転している今、SunがOpenSolarisを投入してマインドシェアを獲得するにはいい時期ではないだろうか?
確かにそうなのだが、ここでほかに話題を奪おうとしている人物がいる。Apple Computerのスティーブ・ジョブズCEOだ。
Intelの街では、新しいOSの話題はもっぱらMac OS Xとその基盤となるオープンソースの「Darwin」に集まっている。
わたしが話をした人はたいてい、Mac OS XをIntelハードで動かせるのか、あるいはWindowsをMactelマシンで動かせるのかに夢中になっていた。1年前から騒がれていたものの、OpenSolarisの話題がMacの話題よりも盛り上がっているということはほとんどない。
今後のMactelとの競争を別にしても、Sunは開発者と企業顧客の心をつかむ上でもっと差し迫った課題を抱えている。
開発者とISV(独立系ソフトベンダー)は、McAfeeのような大手でも、Plumtree Softwareのような垂直プレイヤーでも、かつてないほどのハイペースでLinux対応ソフトを開発している。何より重要なのは、顧客がLinuxに目を向けているということだ。
Linuxにビジネスドリームを託しているのは小さな企業だけではない。Citigroup、E-Tradeなどの大会社も企業の中心にLinuxを据えている。
なお悪いことに、Sunから見れば、これら企業顧客の多くがSolarisからLinuxに移行しつつある。
わずか数週間前にニューヨークのLinuxWorld Summitで、E-TradeのCTO(最高技術責任者)ジョッシュ・レビン氏は、同社が「Sunのポスターチャイルド」からLinuxへの改宗者になったと話した。
ああ、なんてことだ。
その上、SunがOpenSolarisのコードにCDDL(Common Development and Distribution License)を適用すると発表したことが、一部オープンソース開発者の熱意を削いでいる。
もしもエンタープライズ環境で両方のOSを扱いたいというのであれば、Black DuckとVA SoftwareのProtexIPとSourceForgeを組み合わせたようなシステムを使うことをお勧めする。
13日に発表されたこのパッケージは、一方のOSのコードがもう一方に混ざっていないことを確認できる。
Sunはまた、発展し得る開発者コミュニティーを築くという困難な作業にも直面している。
同社はOpenSolarisサイトでいいスタートを切った。
ユーザーがOpenSolaris向けのフリーソフトバイナリを開発しているBlastwave.orgや、以前からSolaris向けフリーウェアを手がけているSunfreeware.com(OpenSolarisにも対応する)のようなサイトも幾つかある。
それでも、Linuxのコミュニティーリソースと比べると、OpenSolarisが成長するまでの道のりは長い。
SunはLinuxからの挑戦に応えなければならなかった。同社のUNIX顧客がLinuxに流れるのをOpenSolarisが止められるかどうかは、いずれ時が経てば明らかになるだろう。
2〜3年前――例えばLinux 2.4が登場する前――にOpenSolarisが登場していたら、OS関連の最大のニュースになっていただろう。だが今は一方にMac OS X、もう一方にLinuxの三つどもえの戦いだ。
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