OpenSolarisの見解Interview(1/3 ページ)

通常、オープンソース・ソフトウェアの世界でなされている仕事から一番おいしい部分を受け取る人々の見解を聞く機会は、めったにない。今回はOpenSolaris開発チームのメンバーに取材し、技術色の薄いインタビューをお届けする。

» 2005年06月15日 19時37分 公開
[Jem-Matzan,japan.linux.com]

 ほとんどの場合、オペレーティングシステムのレビューや開発者のインタビューでは、技術的なポイントをよりどころとしてプロジェクトの目標とユーザへの利益を説明する。オープンソース・ソフトウェアの世界でなされている仕事から一番おいしい部分を受け取る人々の見解を聞く機会は、めったにない。そこで、今回は以下のOpenSolaris開発チームのメンバーに取材し、技術色の薄いインタビューをお届けする。

  • Justin Erenkrantz - カリフォルニア大学アーヴィン校Donald Bren School of Information and Computer Scienceに在籍する大学院生。Apache Software Foundation(ASF)のシステム管理者の1人であり、同組織の最高決定機関のメンバーである。
  • Liane Praza - 米Sun MicrosystemsのSolaris Kernel Development部に所属するエンジニア。
  • Chris Morgan - ニューヨーク市の金融業界で開発チームに所属。
  • Max Bruning - Sunエンジニアを対象として、Solarisインターナル(カーネル内部)、デバイス・ドライバ、カーネル・クラッシュ解析/デバッグ、Solarisネットワーク・インターナルについての教育を担当する。主に解析とデバッグを専門としてSolarisとLinuxのコンサルティングを行う。6年間にわたってフルタイムでカーネル開発(Unix System V Release 4ベースのカーネル)に携わり、70年代からニュージャージー州のベル研究所でUnixのプログラミングと利用に従事する。
  • Stefan Teleman - ニューヨーク市の金融サービス企業に勤務。SolarisとLinuxをベースとするプラットフォームで動作する複雑で高性能、高セキュリティの取り引きアプリケーションを開発するグループのサブリーダー。
  • Keith Wesolowski - OpenSolarisプロジェクトのエンジニア。

NewsForge OpenSolarisプロジェクトのどこに魅力を感じたのですか?

Justin Erenkrantz OpenSolarisプロジェクトには、Apache Software Foundationのインフラストラクチャ・チームの代表として主に参加しています。OpenSolarisのパイロット・プロジェクトにはASFインフラストラクチャ・チームの代表者が他に3人いますが、一番多く発言しているのはわたしです。

 ASFインフラストラクチャ・チームは、オープンソース・プロジェクトのapache.orgシステムの基盤となっている全システムを管理するボランティアの集団です。たまたまSolarisを使うことになりましたが、わたしたちはオープンソース支持者ですから、オープンソース・プロジェクトとして一人立ちできるようにOpenSolarisの成熟を支援しています。また、それと並行して、Solaris 10からOpenSolarisに移行できるケースがあれば、できるだけそうしたいとも思っています。今の時点では、Solarisマシンは1台しか運用していません。他にFreeBSDとLinuxも使っています。

Liane Praza Solarisの開発に携わって数年になります。最近は、Solaris 10のService Management Facility、つまりsmf(5)の主任エンジニアを勤めました。smf(5)はSolaris上でサービスを起動する機能ですが、多くのSolarisサービスはSunの外部で書かれていることから、既存の開発コミュニティーの充実ぶりを長い時間をかけて学んだところです。Solarisのエキスパートは大勢いますが、Solaris向けのソフトウェアを開発している他の人々と連絡をとれる公共の場所は多くないのです。OpenSolarisは、コードを寄与する場を作っただけでなく、ソフトウェア開発について意見を交わす場も作ったのです。そこに自分が参加しているなんて、わくわくしますね。

 ソフトウェア開発で一番興奮させられるのは、自分が書いたものが想像もしない方法で使われることです。OpenSolarisによって、Solarisの革新性をクリエイティブに活用する新しいチャンスが生まれます。

Max Bruning このプロジェクトのことは、わたしが講師を勤めたSunエンジニア向けのデバイス・ドライバ講習クラスにいた元生徒から聞きました。ドライバ(そしてその他のカーネル・モジュール)を書く場合、ソースコードを参照することほど役立つものは、おそらくないでしょう。ソースコードが公開される前は、いくつかのドライバのソースが公開されていましたが、参照できる範囲に限界があり、しかも比較的古いデバイスのドライバばかりでした。Solarisをソースから「ビルド」することに関心はありません。しかし、新しいカーネル・モジュールやドライバをシステムに追加することには関心があります。ソースにアクセスできるなら、さまざまなツールから出力された情報がどう解釈されるのかもチェックできます。たとえば、マニュアルには、特定のコマンドやライブラリ・ルーチンがどのように機能するかとか、システムの一面については説明されています。コードにアクセスできれば、処理の流れに関する推測を具体的に確認できます。

Stefan Teleman わたしにとっては、これはお気に入りのUnix実装をお気に入りのコンパイラを使って扱うチャンスでした。そして、実際にビルドした経験のある人から学べるチャンスでもあったんです。おかげで、たくさんの素晴らしい人々と出会い、知己を得ることができました。

NF OpenSolarisの最も優れている点は?

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