OpenSolarisの見解Interview(3/3 ページ)

» 2005年06月15日 19時37分 公開
[Jem-Matzan,japan.linux.com]
前のページへ 1|2|3       

Justin Erenkrantz OpenSolarisは、Solaris 10で出荷されているものとまだ同等ではありません。とはいえ、いずれSunは、Solaris 10と同等のものを(法的に許される限り)OpenSolarisでも利用できるようにすると思います。それには時間がかかりますし、管理体制を確立していくことも必要です。立ち上げ時に何が備わっているかだけでOpenSolarisを評価しようとしては、全体像が見えません。本当のテストは、コミュニティーとコードがその後の数年間でいかに発展するかを確かめることなのです。

Liane Praza OpenSolarisにはコミュニティー機能があるので、OpenSolarisソースベースに正式に含める段階にない開発コードでも、試験的な利用のために公開できます。現在のSolarisの長所は、製品化できる品質に達していない機能は開発ゲートすらくぐることができないことです。Solaris Expressプログラムを利用すれば、誰でもSolarisの初期開発ビルドにアクセスできます。これは最新の機能を利用したい人々には強い味方です。しかし、プロジェクトによっては、作業コードから製品レベルの品質にまでもっていくのに数ヶ月かかることもあります。品質に対する要件が非常に厳しいからです。OpenSolarisを使うことにより、まだ安定していない機能にアクセスしたい人々は、早期にそういった機能に接することができます。場合によっては、機能の完成を早める手助けさえできるかもしれません。

Chris Morgan OpenSolarisは、真にオープンであり、いずれは真にSolarisと同じものになるでしょう。

Max Bruning OpenSolarisについて一番多く耳にする質問は、「Sunが本当にソースコードを公表するんですか? 全部残らず?」というものです。わたしはこう言ってやりますよ。「そうです。Sunは本当にソースコードを公表しているんです。ただし、全部じゃありません。ですが、独自に開発しているコードに足りない部分を書くには十分な量です」とね。他に、こんな質問も聞きます。「だからってなんだ。手遅れだよ。Linuxのコミュニティーが年月をかけて今の規模にまで大きくなっているんだから」。これにはこう答えます。「良質のテクノロジに手遅れなんてものはありません。SolarisとLinuxの両方が、互いの着想と技術を参考にできるのですから」

 これ以外で耳にする不満は、むしろSolaris自体への不満ですね。よくあるのは「Solarisは遅い」という不満です。ああ、この人はSolaris 10を試したことがないな、と思いますね。ソースコードやDTraceなどのツールを使ってシステムの内部動作を確認できるので、カーネルとアプリケーションの両方についてパフォーマンスの問題(とバグ)を短時間で検出できます。ツールにソースコードが加われば鬼に金棒ですよ。

 Solaris x86への不満も聞こえます。「Solaris 7をPCで試したけど、動かなかった。それっきり、Solarisはやめた」というんですが、もう一度試してみるには今はいいタイミングですよ。

Stefan Teleman OpenSolarisに関する意見はたくさん目にしました。かなりの人が思い違いや誤解をしているのでガッカリです。しかも、そのいくつかは、発言に重みがあり、多くのオープンソース・コミュニティーに影響が及ぶ人物が書いた意見だということも悲しいですね。

 まず最初に言っておきますが、わたしたち(OpenSolarisコミュニティー)は、口から泡を飛ばしてLinuxを攻撃する凶暴なアンチの集団などではなく、ありもしないLinux殲滅秘密組織によって操られてもいません。Linuxのペンギンを殺そうと企むSolarisのダース・ベイダーなどいないのです。それと逆に、すべてのGNU/Linuxハッカー(あるいは擁護者)が誠実なジェダイの騎士であるということもありません。

 わたしたちの過半数は、LinuxとSolarisの両方を日常的に利用しています。

 ほとんどの思い違いは、Solaris全般についてや、Solarisハッカーの「文化」についてよく知らないことから来ているようです。これは、いうなれば、12年前のUsenetニュースグループの文化にたとえられるものです。ある特定の性向がわたしたちに共通します。内向的、せっかち、自分で学び実行するという強い信念、といったものです。

 思うに、こういった性向はUnixの歴史に由来するのでしょう。かつてのUnixは、暗号まがいの使いにくい「一匹狼」のオペレーティングシステムでした。Unixを学びハックしたければ、試行錯誤を繰り返して独力で習得したものです。だからといって、わたしたちがコミュニティーを発展させなかったわけではありません。わたしたちが公共の財産を共有しないということではないのです。単に社交的でない、というだけです。対照的に、他のオープンソース・コミュニティーは、もっと社交的な基盤から誕生し、発展、繁栄しているようですね。このような2つの文化をつなぐ橋を見出し、不信を一部なりとも解消できればどんなにいいかと思うのです。いがみ合わなければ、みんなが繁栄できます。

Keith Wesolowski Sunは「集合意識」ではありません。このプログラムを利用していただきたい人々の多くが、広く言われている風評、つまりSunはフリーソフトウェアを憎悪しているとか、OpenSolarisは市場におけるGNU/Linux製品の成功を迎え撃つ先鋒だというような噂を信じてしまっています。弊社の重役がこの件をどう考えているか知っていると言い張るつもりはありませんが、文字どおり長年このプロジェクトの実現に取り組んできたSolaris組織内の人々は、そんな考えは抱いてません。企業の主導によってコミュニティーが形成されたのではないのです。このプロジェクトには、わたしたちの誰もが個人として参加しています。OpenSolarisは、オープンソースとオープンの開発に対するわたしたち1人1人の誠実さと個人的な深いかかわりを体現しているのです。誰かに強制されてそうしているわけではありません。



前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ