JavaOne:OracleがJDeveloperツールを無償提供へ

来週、サンフランシスコで「JavaOne」が開催される。この場でOracleは、Java開発ツールの「JDeveloper 10g」を無償で提供する方針を発表する計画だ。

» 2005年06月23日 21時11分 公開
[IDG Japan]
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 Oracleは来週サンフランシスコで開催される「JavaOne」カンファレンスにおいて、Java開発ツール「JDeveloper 10g」を無償で提供するという方針を発表する。

 このツールは従来、1シートに付き995ドルという価格設定だった。JDeveloper 10gは6月28日にリリースされる。将来リリースも無償で提供される予定だ。

 Oracle Fusionミドルウェアを担当するリック・シュルツ副社長は、同ツールをSOA開発環境として位置付けている。同氏によると、JDeveloperは、IDE(統合開発環境)、UMLベースのモデリング、BPEL(Business Process Execution Language)プロセスフローデザイナー、Webサービス機能などを備えるという。

 「これは何年も前から提供している、非常に成熟度の高いツールだ。この製品から値札を外し、無償でJavaコミュニティーに提供することを発表するつもりだ」とシュルツ氏は語る。

 シュルツ氏によると、JDeveloperを無償化するというOracleの方針は、オープンソースのJava IDEであるEclipseの勢いに押されたからではなく、JDeveloperの普及を促進するとともに、同社のFusionミドルウェアシリーズへの関心を喚起するのが目的だという。Fusionには、アプリケーションサーバ、ポータル、アイデンティティ管理、連携ソフトウェアなどが含まれる。

 BEA Systems、Macromedia、Borlandなど数社の企業が最近、Eclipse IDEを支持する姿勢を打ち出した。しかしシュルツ氏によると、JDeveloperの無償提供はEclipseに対抗するためではないとしている。

 「われわれはEclipse Foundationとも協力関係にある。ある意味では、JDeveloperはEclipseと直接競合するものではないと考えている。JDeveloperは単なるIDEではないからだ」と同氏は話す。

 OracleのJDeveloper無償化の発表は、Eclipseへの対抗策というよりも、SAPのNetWeaverミドルウェアプラットフォームと競争するためだ、という見方をするアナリストもいる。

 Current Analysisの主任アナリスト、ショーン・ウィレット氏は、「Fusionの普及を拡大するのが本当の狙いではないか。彼らは大きな利害の絡んだ戦いをSAPと演じている」と指摘する。

 「JDeveloperは第一級のJava IDEだ。Oracleはこれを大きなアドバンテージとみており、無償で提供することが自社のミドルウェアの拡販につながり、NetWeaverとの戦いにもプラスになると考えているようだ」(ウィレット氏)

ライセンス料金の返金はなし

 Oracleは今後も、JDeveloperに関連したプロフェッショナルサービスの販売を続ける予定だ。シュルツ氏によると、既にライセンス料を支払った人に返金する予定はないという。「これは返金が適用される一般的なプロセスではない。ソフトウェアのライセンスとはそういうものだ」(同氏)

 OracleではJDeveloperを無償で提供することにより、同ツールの普及を拡大するとともに、既にJDeveloperを利用しているユーザーの投資を保護するつもりだ、とシュルツ氏は話す。

 ウィレット氏によると、JDeveloperの価格はもともと低いので、返金を行わなくてもそれほど問題にはならないという。「これが10万ドルも20万ドルもするような製品であれば、人々は大騒ぎするだろう」と同氏は話す。

 またOracleは、JSF(JavaServer Faces)をベースとしたツールを提供するためのEclipseプロジェクトを同社がリードすることを提案する予定であることもJavaOneで発表する。JSFは、Javaアプリケーションのユーザーインタフェースを作成するための規格。シュルツ氏によると、このプロジェクトはJSFを利用したアプリケーションの開発を容易にするのが狙いだが、Oracleのミドルウェアへの関心を高める手段としてもとらえているという。

 JSFプロジェクトは、EJB 3.0用のツールの開発に向けてOracleがEclipse内で推進してきた従来のプロジェクトがベースとなる。

 さらにOracleは、Apache MyFacesプロジェクトにコアコントリビューターとして参加することも発表する。MyFacesは、JSFのフリー/オープンソースインプリメンテーションである。

 シュルツ氏によると、Oracle Application Serverを担当するトーマス・クリアン上級副社長が、JavaOneのプレゼンテーションで、SOAを構築するためのJSF、EJBおよびBPEL技術に対するOracleのサポートを強調する予定だという。

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