多様化するブログ、Movable Typeにはどのような未来が――シックス・アパートBlog情報共有の未来(2/3 ページ)

» 2005年07月15日 08時30分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

 つまりイントラネットやエクストラネットというのは、Webのアクセス制限を、どう実現するのか、というところだと思います。まず「社内」という分かりやすいアクセス制限が必要になり、それがパートナー企業と広がった。当時はいわゆるベーシック認証ぐらいしか方法がなかったので、パートナーに対して、ユーザーIDとパスワードを渡してアクセスしてもらうわけです。

 一方、インターネットは、徐々にEコマースと連携するという側面ができてきた。90年代後半には、BtoB(企業間取引)やBtoC(企業、個人間取引)という方向に進化していきました。逆にイントラネットは、社内の他のシステムと連携する、という方向に行ったわけですね。

 ここで、「Web」という言葉を「Blog」と置き換えて考えてみましょう。まず、世の中にBlogというものが出てきて、皆がBlogを使ってインターネット上で情報発信するようになった。やがて「社内のこともBlogを使って共有したいけれど、外部に見えたら困る」というニーズが出てくる。そのため、社内にBlogを設置する。これが「イントラブログ」です。アクセス制御のために、社内に作るという発想ですね。まったく同じ議論なのですよね。

 従って、外(インターネット)にあるBlogは情報発信から徐々にコマースみたいなものにつながっていく。その過程の中で、マーケティングやEコマースという方向に進化するでしょう。逆に社内のものは、社内の既存システム、例えばグループウェアとどう連携するかという方向に行くわけです。実際、ノーツはWebと連携し、HTMLページを出力したりしているわけです。クライアントソフトも多くがWebクライアントに変わりましたよね。それと同じように社内に入ったBlogも進化していくでしょう。また、エクストラネットのように、外に置きながらアクセス制御するものまで、今後はBlogのアクセス制御に関しても進化していくのかなと思います。

 Blogは、社内に入るもの、社外に残るもの、たぶんそれぞれの進化を遂げていくと思うのです。それは10年前にWebが進化を遂げていったのと同じでしょう。シックス・アパートとしては、それぞれのシーンに合うようなBlogの製品を、今後も強化していきたいと思っています。

ソリューションベンダーを増やしたい

ITmedia 強化点は、ソリューションを目指すのか、あるいはMTとTypePadをベースにしたツールの機能性追求なのか、どちらなのでしょうか。

 まずMTについてですが、基本的にはソリューションベンダーを増やしていきたいです。シックス・アパートは基本的に技術を製品化して提供するという、ソフトウェアベンダーです。コアな機能を開発し、新たな技術を取り入れて改良していくことを主体に考えています。ひとつの製品の中に、最新の技術や使いやすい機能をなるべく多く入れて、それを多くの人に使ってもらうことで多様なものを実現することが理想です。

 業界ごとに最適なパッケージングを実施するために、MTに100程度のバリエーションを作るとしたら、それこそ莫大なコストを要します。そもそも、それぞれの業界の慣習やニーズは、その業界に精通したソリューションベンダーの方が、私たちよりよっぽど詳しいに違いありません。そのため私たちは、どんなビジネスシーンにも適用しやすい柔軟性の高い製品を作ることが大切と考えています。それをパートナーであるソリューションベンダーが付加価値を加え、最終的にエンドユーザーに届くという姿が理想です。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ