特集「Blog情報共有の未来」、関連企業インタビューの第5弾は、サーバサイドBlogツールの供給元として知られているシックス・アパート。Blog人気の中核に位置する同社に、今後の方向性、企業利用の可能性を聞いた。
シックス・アパートは、米Six Apartの日本法人。サーバサイドBlogツールである「Movable Type」(以下、MT)、そして統合Blogサービス「TypePad」を提供していることで知られている。
シックス・アパートでは、TypePadの日本語版サービス「TypePad Japan」やMTを日本語対応させた「Movable Type 3.1 日本語版」(2005年7月現在)を提供しているほか、設立のきっかけともなったニフティの「ココログ」やNTTコミュニケーションズの「ブログ人」などにもTypePadのライセンス供給を行っている。
ほかにも地域ISPに対してTypePadをASP供給するなど、Blogサービスの根幹も担う存在だ。このインタビューでは、シックス・アパートが現在のBlogビジネスをどのように考えているのか、今後、企業でのBlog利用にMTやTypePadがどのように関わり合うのか、代表取締役の関 信浩氏に聞いた。
ITmedia Blogの企業利用についてどのように考えていますか。
関 まずBlogの企業利用というと難しく考える人が多いですが、あまり複雑に考えず企業で使われていれば企業利用だと捉えればよいと思います。そのBlogの企業での使われ方は、社内の情報共有のためのイントラ利用、逆に社外への情報発信のWebサイトの中でBlog的な利用までさまざまです。
Blogの企業利用というと、「社員に日記を書かせてどうするのですか?」というリアクションもよく聞きますが、表現のカタチとしてBlogを日記的なものに限定してしまうのではなく、もっと広くWebの進化形としてとらえたいところです。
Web技術の進化を考えると、その中のひとつの起爆剤となったのがBlogという存在だと言えます。
ここで「Blogの存在」とあえて言っているのは、「Blogって何ですか?」という定義の話に戻るからです。かつて10年前にインターネットが登場した際、多くの人はインターネットとWebをあまり区別していませんでした。「インターネット」と言っているが、実はWebを指していることが多かったわけです。一方、現状では、「Blog」がもてはやされ、「Webサイト」などと対比されていますが、Blogは実はWebの進化形に過ぎません。
大風呂敷を広げてしまうと、Webを使って情報提供をしている企業活動の多くは、Blogが実現したさまざまな技術によって恩恵を受けると思います。日記的な形式が適用されなければBlogではないと言っていたら、必ずしも、多くのWebサイトはBlogになりません。しかし、Blogを通じて広まったRSSやトラックバックといった技術や、Webサービスと連携している形。こうした一連の技術を利用して、企業のWebサイトをリッチにしていくというような動きを考えると、WebはBlogの恩恵を受けていきます。
つまりBlogの技術がビジネスの世界に適用されていけば、それはBlogの企業利用になると考えています。
ITmedia 企業のBlog利用というのは、どちらかというとマーケティング的な側面が強いと感じます。シックス・アパートも関わっているイントラブログ・コンソーシアムのイントラネット利用に温度差を感じませんか?
関 イントラネットが何のことかというと、この場合の本質は社内にWebサイトを立てましょうという話なのです。
まずインターネット上でWebサイトというのが形成されました。それを社内向けに使って、社外に公開できない情報を共有するためにイントラネットができた。さらに、このイントラネットを、外部のパートナーとも共有したいという発想からエクストラネットが出てきたという流れです。
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