特集
» 2005年07月15日 08時30分 公開

Blog情報共有の未来:多様化するブログ、Movable Typeにはどのような未来が――シックス・アパート (3/3)

[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]
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 シックス・アパートとしては、さまざまな利用シーンで基盤となる使いやすさと、拡張性の高いソフトを作ることが責務だと考えています。つまり、MTのパッケージをただ再販するのではなく、MTを使った企業向けの商品を作って提供する、という観点でソリューションを提供していくことになります。実際、ビジネスの現場では、さまざまなニーズがあるはずです。システムの信頼性を重視したいのであれば、MTを乗せるサーバを通常よりも信頼性の高いものにしたり、別途、監視体制も付加して提供してもらうこともあるでしょう。エンターテインメント重視でBlogを作る場合は、エンドユーザーが楽しめるユニークなテンプレートを提供する必要があるでしょう。エンドユーザーにシステムを運用する技術やリソースが無い場合は、レンタルサーバを使ってBlogを構築する、などいろいろなパターンがあるでしょう。

 例えば、既に基幹システムがあって、そこにカタログデータがあるとします。月に10個ずつぐらい製品が増えているので、そのデータを取り込んで毎日Blogを書きたいと考えたとします。MTが備える標準的なAPIを使えば、基幹システムからMTに自動的にポストする仕組みを作れます。このような形で、業務システムと連携したBlogを簡単に作ることができます。

 一方、TypePadの場合は若干、製品の性質が異なっています。TypePadは、Blogサービスを提供したいサービス事業会社や事業会社のために、Blogサービスの提供に必要な機能すべてをパッケージングして、ご提供しているものです。

オールインワンでBlogサービスを提供できるTypePad

 これはMTとは反対の考え方ですね。MTの場合、10万人の会員向けにBlogサービスを提供したいと思っても、Blogサービスに必要な機能はそろっていませんから、すぐに満足できるサービスを提供することはできません。その点、TypePadが目指しているところは、導入してすぐにBlogサービスとして運用できるようにすることです。

 Blogサービス提供に特化しているため、当初はISP(インターネットサービスプロバイダー)がTypePadの主要顧客でした。ただし、現在ではほとんどのISPがBlogサービスを開始しているため、1年ほど前には「シックス・アパートのビジネスはもう終わったのではないか?」とよく尋ねられたものです。しかし、実際にはそうではありません。Blogの仕組みは日記のためだけのものではありません。Webの置き換えという観点で見ると、今後、広がりを見せていく分野が多いでしょう。

 例えばメールアドレスにしても、最初はISPに加入しなければ入手できなかったものが、気付いたらHotmailのようなフリーアドレスサービスがたくさん登場しました。今ではケータイが個人メールの主流になりつつありますよね。Webも同じで、昔はISPの会員サービスとしてホームページがあったわけですが、今では普遍化しています。

 事業会社が顧客サービスやマーケティングの一環として、エンドユーザーにサービスを提供する方法は多数存在します。その中のひとつとして、Blogを提供するという考えがあり得ると思います。例えば、私はハーレーダビッドソンのファンであり、ハーレーが顧客サービスの一環として、さまざまなアイテムで自分のBlogをデコレーションできるBlogサービスを始めたら、移行する、あるいは新たに始めてみたいと思う人もいるでしょう。

 決して、ISPやポータルサイトが無料でBlogサービスを提供したら、それで100%のエンドユーザーが満足するわけではないと思います。ですからシックス・アパートは今後も、エンドユーザーに使いやすいツールだと思われるように、TypePadの機能を追求していきたいと考えています。つまり多様なニーズに応えられるような製品作りをするということです。

 われわれTypePadをISPなど企業にライセンスしているため、外から見ると弊社の顧客は企業ユーザーのように見えるかもしれません。しかし、TypePadを使ってBlogサービスを提供する企業は、エンドユーザーに対してサービスを提供するわけです。ですから、TypePadをライセンスする企業には、TypePadに付加価値を加えて、エンドユーザーにソリューションを提供するパートナー企業と考えた方がしっくりくるわけです。オンラインコミュニティのオーナーが、自分たちのユーザーに対し配りたいような、そんなBlogサービスを実現できるように、今後もTypePadを作っていきたいですね。

ポータル機能こそ各社の差異化ポイントに

ITmedia TypePadには、ポータル構築ができる機能が最初から搭載されているのでしょうか。

 現状ではありません。TypePadを利用してBlogサービスを提供している「ブログ人」や「ココログ」などにとって、ポータルサイトの充実は腕の見せ所です。Blogの基本機能とは違い、さまざまな仕掛けがあり得ます。ですので今までTypePadで、汎用的なポータル機能は提供してきませんでした。

 ただし最近では、後発参入の会社から「まずはあれと同じものを作りたい」という要望が増えています。わりと先行企業のポータルの作り方がお手本になっているようです。ただし先行企業では、ポータルの運営にかなり力を入れており、そう簡単に実現できるものではありません。Blog上のデータだけでなく、他の会員サービスで得られたデータやサービスを組み合わせ、総合的なポータルサイトを実現しているわけです。

 現在、TypePadを10数社に提供していますが、それでもポータルサイトの標準機能を取り入れるまで至っていません。それはサービスの差異化ポイントの1つですから、標準化したポータルを利用する企業は、とても少ないでしょう。ただ今後、一般の企業にまでBlogサービスの提供が浸透していけば、標準的なポータルページを標準装備する必要性が高まるだろうと認識しています。

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