広告ツールとしてのブログはメディアミックス在りき――電通(1/4 ページ)

業界を問わずマーケティングを幅広く担う電通。特集「Blog情報共有の未来」、関連企業インタビューの第3弾は、インターネット以外にもさまざまなマスメディアを知る電通に、Blog人気の効果を聞いた。

» 2005年06月22日 10時39分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

 電通は広告会社として歴史が古く、1901年に創立された日本広告株式会社、電報通信社までさかのぼる。1951年には民間ラジオ放送開始とともに本社にはラジオ局を新設するなど、常に新しいメディアを広告媒体として活用している存在だ。

 今回は、インタラクティブな分野全般を取り扱うインタラクティブ・コミュニケーション局インタラクティブプロデューサーの高広伯彦氏に話を聞いた。電通は、インターネットをマーケティング媒体としてどのように見ているのか、そしてBlog人気の効果は?

マーケティングからWebを見る

ITmedia 最近のWebをマーケティングの観点からどのように見ていますか。

高広 現代は、コンシューマが商品を知る段階から比較、そして購買へと決定するまでの「購買行動プロセス」の中でさまざまな情報メディアが絡み合っています。

 これまでにも情報メディアが多岐に渡ってくる中で、老若男女へ幅広く「認知」させるという目的においては相変わらずテレビを筆頭とするマスメディアが利き、「理解」を深めさせるという点では新聞や雑誌のようなじっくり読める紙メディア、「比較検討」から「購買」という点では店頭や口コミが効く、といったメディアの特性がありました。ここに、すべてのフェーズで「利くメディア」としてインターネットが出現している、というのが注目のポイントです。

 これは「購買行動プロセス」におけるコンシューマの情報メディア利用が変わってきていることを指します。がむしゃらにインターネットを使えばいい、というわけでなく、購買行動プロセスをじっくり見た際に、インターネットはどのような役割をする情報メディアなのか、を理解して利用するのが正しい道筋ではないかと考えています。

 少し前までは、インターネットは”万能の杖”と思われている向きも確かにありました。何でも可能であり情報を詰め込むのも思い通り……。ユーザー側も情報機器へのリテラシーが高い人が多かったため多少難しい取り組みもできた。しかし、インターネットが特定の人々のものだった時代も過ぎ、テレビや新聞、雑誌やラジオのように利用者が人口の6割、7割と普及することで特別な物ではなくなってきます。つまり「インターネットが普通」のものになった時代です。このことを踏まえた上で、マーケティングやビジネスを考えるフェーズに入っているのだと思います。

 そのひとつの考え方としてよく話すのが、従来のマーケティングにおけるボトルネックを補うものとしてインターネットを利用するということです。

 これまでは、商品やサービスへの興味喚起を促すことにマスメディアは非常に貢献してきました。一方で、購買の比較検討段階=店頭にコンシューマが行くまでの間、コンシューマの興味の持続や記憶が頼りだったことは否めません。しかし、テレビを見て、ある商品に興味を持ったとして、店頭に駆け込むなんて人はほとんどいません。つまり、せっかくマスメディアで生まれた「興味」と店頭への「購入」の間に”ミッシング・リンク”が存在していたのです。それが今では、コンシューマに芽生えた「興味」をより深いものにし、「理解」させることができるインターネットというメディアが存在するわけです。いわば的確なタイミングにコンシューマの手元にパンフレット/カタログがある、そのようなイメージです。

 よくインターネットが普及したことで、テレビのパワーが落ちるのではないか? という議論があるのですが、そのようにあまり考えていません。むしろコンシューマの「購買行動プロセス」に合わせ、最適なメディアの組み合わせを想定し、この先どのようなメディアが来るのかと考えながらプランニングすることが大切です。その中でインターネットはどこのフェーズにも利いてくることからも、どちらにしてもコアな媒体になるだろうと考えています。

ITmedia 映像や紙と比べ、ネットならではのメリット、デメリットをどのように見ていますか。

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