広告ツールとしてのブログはメディアミックス在りき――電通(2/4 ページ)

» 2005年06月22日 10時39分 公開
[聞き手:木田佳克、森川拓男,ITmedia]

高広 いちばんのポイントは、“consumer-centric”と言えばよいのでしょうか。コンシューマ側が見たい時に望んだ物を選べることがメリットだと考えています。

 テレビや雑誌など従来のマスメディアは、どちらかというと情報を流しっ放しにできる、という贅沢なメディアです。それゆえに、コンシューマにとっては新たな情報との出会いの場になっています。そこがTVCMなどの優位性の部分であり、かつこうした偶然の出会いが人の生活を潤わせる部分だと思います。対して、インターネットの場合は、自分が欲しい情報へと比較的ストレートに到達することができることに優位性があります。なので偶然の出会いを作ってくれる機能としてのマスメディア、偶然に出会った商品をもっと深く知っていくための機能としてのインターネット、そのような使い方がよいと思いますね。だからこそ従来のメディアとインターネットはお互いのメリットを生かし、お互いのデメリットを補う相互保管関係になってきていると考えます。

 以前はインターネットは、ある種の情報を流出させる”チャネル”的な使われ方が多かったのですが、最近はひとつの”メディア”としてようやく扱われるようになってきています。

 “チャネル”というのは情報や商品をいかにうまく“流通”させていくかだと思うのですが、“メディア“は、企業とコンシューマをいかに“最適な関係で結びつけるか“という役割を担っています。これまでは、「キャンペーンの受け皿としてインターネットを使う」、「ダイレクトマーケティングのチャネルとしてインターネットを使う」というケースが多かったのですが、最近目立っているのは「(インターネットを)ブランディングのためにいかに積極的に使えばよいのか? 」という新しい視点ですね。

ITmedia 電通がやり取りするさまざまな業界を見て、(インターネットは)どこにはウケがよい? などの傾向がありますか。

高広 現在は特に偏りがない状態ですね。以前は、比較的購買するまでの検討時間が長い商品、特に耐久消費財を扱う広告主が多かったのですが、最近は日常的な商品、コモディティを扱う広告主も含めて拡大しています。インターネットは特定の業種だけのもの、という側面はもう無いですね。先に話したようにコンシューマの間でも普通のメディアとして浸透しているわけで、広告主の担当の方々も特別なメディアとして扱っているわけではないですし。でも一方でまだまだ未成熟な領域でもあるので、これからの方がもっと面白いと思いますね。

 インターネットが日本の中でマーケティングツールとしてインターネットが利用されてきた歴史は、当然10年にも満たないです。でもその短い歴史の中でも技術は相当バージョンアップされており、例えば顕著なところでは回線スピードの向上、インタフェースであればFlashなどとリッチメディアやストリーミングが普通になってしまったということもそうでしょう。まだまだ技術的側面は強いですが。

 しかしこうした技術が注目される時期を経て、「普通」になった時こそ何をすべきか?が問われ出してるように感じますね。そこから更に次の変化へとステップアップしていくためには、この10年間の棚卸しをして、蓄積されてきたアイデア、捨てられたアイデアを見直さなければならないでしょう。5年前に実現できなかった手法が、今ならば可能というケースも多々ありますし。

テレビとインターネット、双方向性の違いも関係する

ITmedia テレビ業界でもデジタル化が進んでいますが、双方向性という側面はそれぞれ維持されていくでしょうか。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ